第13話 2日目④
地面がぬかるみ足が取られる。水溜りを踏んでもそんなことはお構いなしだ。
ひたすら走り、探す。息が荒々しくなる。
「ん、あれは」
日が昇り、雨が上がったことでずっと探しやすくなった。
探し人が見つかったことによる安堵の気持ちの中駆け足で向かう。
「おい、なにやってんだ!」
駆け足が次第に全力疾走になる。サッカー部で鍛えた足がここで活きる。
押し出されて落ちそうになる所を引っ張り上げ、すぐさま、押し出した張本人に拳を振り抜く。
「ハァハァハァ、、おい、晴人!説明しろ!ハァハァ、
なんで修斗を落とそうとした!?」
殴られた頬を押さえ、尻もちをついた体制で睨みつける晴人。
それをみた翼が、晴人の上に乗り殴りかかろうとする。
「やめろ!!、、、翼くん離してあげてください。僕がお願いしたことなんです」
「は?どーゆーことだよ?」
晴人と修斗を睨みつける。
「どけよ...そいつが俺の母さんを殺したんだよ」
上に乗る翼をどかし、修斗を睨みつける。
「はぁ?意味がわかんねえ。ちゃんと説明しろ」
そういうとあったことをそのまま晴人は話し始めた。
「修斗が晴人の母ちゃんを殺したから、晴人は殺そうとして、修斗は罪悪感で死のうと思ったってことか?そーゆーことか?」
修斗に目配せをして聞くと、
「ええ。その通りです。人殺しの僕が君たちといる資格はありません。」
1つ大きくため息をすると
「お前らバカか?難しいことはわかんねえけど、修斗はわざと轢いた訳じゃないんだろ?ならちゃんと謝って許して貰えば終わりじゃねえか」
「バカの翼くんじゃわからないかもしれないですけど、謝って許してもらえるようなことじゃないんですよ」
「じゃあ、まず謝ったのかよ?バカな俺でもやることだぞ、話聞く限りじゃ謝ったなんてこと聞いてねえぞ?謝ってもねえのに決めつけたのかよ」
「そ、それは...」
「それに晴人も晴人だ。お前の母ちゃんが復讐して喜ぶと思ってんのか?友達を殺して自分の仇とって欲しいって思う人か?お前の母ちゃんがそんなこと思わねえことぐらい俺でもわかんだよ!お前は今まで母ちゃんの何をみてきたんだよ!」
胸倉を掴み、声を荒げ続ける。
「うるせーよ!!お前に目の前で母さん死んだやつの気持ちがわかんのかよ!」
あっ、気づいた時には遅かった。
時間が止まった。そう感じるほど思考が停止してしまった。
「わかるよ」
掴んでいた手の力が抜け、さっきまでとは打って変わって静かな目をしていた。
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