第11話 2日目②
「ハァハァハァ、、やっと見つけた」
「...晴人くん」
雨は上がり、2人の言葉を遮るものはなくなっていた。
「俺たちといる資格はないってどういうことだ?」
「.....」
「おい!答えろ!」
修斗は沈黙を続け、少し時間が経つ。
「覚えているかい。僕たちが初めて会った日のことを」
「ああ。俺と翼と香奈でいじめられてる修斗を助けたんだよな」
まだ俺たちが小学校の4年生の頃だった。
転校してきたばっかりで政治家の息子ということもあり、修斗のことを気に食わなかった奴らが修斗のことを毎日のようにいじめていた。
それを俺たちが助けてからはずっと4人で遊ぶようになっていた。
中学生になってからは、修斗は勉強、翼はサッカーで忙しくなって4人で遊ぶこともなくなっていた。
俺も翼と一緒にサッカー部に入ったが練習についていけずに1年もしないうちに退部をした。
香奈は最近になって、モデルのスカウトをされて仕事をしている。
中高一貫だから一緒にいれているだけで俺には何にもなかった。
「修斗や翼はどんどんすごくなっていって、香奈だってモデルの仕事があって、俺には何にもない。」
「そうですね。今の晴人くんは正直言ってみるに耐えない状態ですね」
「....」
何も言い返せなかった。毎日ゲームをして将来の目標もなく、ただ過ごしているだけ。
そう思われていてもしょうがなかった。
「翼くんに聞きました。いじめられていた僕をみんな見て見ぬ振りしていたのに、晴人くんが『助けよう』と言って助けてくれたと。あの時に僕の人生は変わりました。助けてくれた晴人くんに胸を張れるように生きようと」
「あの時の俺はなんでもできる気がしていたからな。でも、勉強もサッカーも中途半端で逃げ出した。だから、お前たちといる資格がないのは修斗じゃなくて俺の方なんだよ。比べられるのが怖くて、お前らといることをずっと逃げてきたんだよ」
みんなと話していると自分の小ささを改めて感じてしまう。4人でいることがなくなってきたのは忙しかったからじゃない。俺が逃げていたんだ。
「資格がないんですよ」
声のトーンが低くなった。それは初めて聞く修斗の声だった。
「僕が君の母を殺したんですよ...」
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