第2話 0日目①

進路のことを考えると憂鬱になる。


「将来何になりたいのか」


学校の先生は口を揃えて言ってくる。

将来なりたいもの、やりたいことが決まってる人ほど楽なものはない。特にやりたいこともない。

なりたいものやりたいことそれを実現させることができるのはほんの一握りで才能があり選ばれた人間だけだ。俺にはそんな才能はない。だったら、夢を追う時間を友達と遊んで過ごす方がよっぽど頭の良い生き方だ。


「夢を持つことは素晴らしい!」


そんな言葉がふと頭によぎった。この間テレビでやってた夢を叶えた人の言葉だ。

そんな言葉を言えるのは、夢を叶えることができて自分のことが大好きなナルシストか、ただのバカな奴だけだ。

この世にいる大半の人間は夢なんてものはなく、ただなんとなく今という時間を生きて人生を終える。俺もその中の1人だ。


そんなことを考えながらゲームをしていると、

突然画面が切り替わった...


そしてそのテレビに映っていたのは、1人の人物だった。


「みなさん落ち着いて聞いてください。3日後地球に隕石が衝突します。」


その人物はそう言って話し出した。

話の内容をまとめると、3日後に隕石が落ちて人類は絶滅します。と言った内容だった。


「バカバカしい」


パリンッ!

下の階から大きな音が聞こえてきた。


リビングに行ってみると割れたお皿が地面に散らばっていた。

その横にテレビの方を見て立ち尽くしている人物がいた。母さんだった。


「テレビ見てたんだ。たまにテレビでやってるなんとかの大予言とかそういった感じのやつだよね」


母さんは立ち尽くしたまま動こうとしない。


「なに信じてるの?どうせいつもみたいに結局は何もないやつだよ。そんなことより危ないからお皿片付けよ」


そう言って、お皿を片付けようとすると手を力強く母さんに引っ張られた。


「痛っ、どーしたの?」


返事はないまま外に連れて行かれた。


「いきなりどーしたんだよ!!」


「お父さんに会いにいくわ」


声のトーンは低かったが、力強く言葉でそう言った。


「ちょ、ちょっと待てよ、親父とは離婚して連絡取ってないんじゃなかったのかよ!!」


母さんの手を振り解き、一年前に離婚して出て行った父の話を聞こうとした。


母さんは今まで見たことのない真剣な眼差しで晴人をみながら話し始めた。


「お父さんとは連絡を取り合っていたの。晴人のお父さんはね...」


キキーーッ!!


ドンッ!


ズタッ



「母さん!!!」


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