住む者を次々と不幸な目に追いこむ呪われた屋敷。そんな屋敷に借金の取り立てに向かったヤクザの下っ端がポルターガイストに巻き込まれたからさあ大変。その報告を聞いた経極組の若頭にして、古き良き硬派な極道・東郷兵市はどこか抜けている部下たちとともに屋敷へ向かう。屋敷で起きている真実を確認するため、そして借金を取り立てるために……!
ホラーものでたまに出て来る「本当に怖いのは人間だった」オチ。その理論を突き詰めていくのならば人間の中でもトップクラスに怖いヤクザは大体の怪奇現象より怖いのではないだろうか……? そんな理論が元となっているのかどうかはわからないが、本作のヤクザは強い。目の前で起きる怪奇現象にも一切怖気づくことはなく、部下が悪霊に憑依されても暴力でケジメをつけ、屋敷から無事脱出できても装備を整えて自分たちからカチコミに行く!
一見ギャグっぽい設定ではあるのだが、悪霊の正体を調査する流れは普通のホラー作品のようにちゃんと手順を踏んでおり結構正統派。一応この一作で完結しているが、ヤクザVSゾンビ、ヤクザVS呪いのビデオ……など、いくらでもスピンオフが作れそうな魅力的な設定の作品である。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)