■学校ノ怪談-エピローグII

 さて、そんなわけで事件にもカタがつき、美月の学校も平穏を取り戻しつつあった頃。

 事務所をいつものように訪れた美月、彼女が見せてきた一枚の新聞を見て――東郷たちは一同、目を丸くした。

 新聞部が発行した、最新の校内新聞。その紙面の片隅に載っていた記事を見て、東郷が呟く。


「……『学校の、七不思議』?」


 その見出し文を見て、同じくコイカワも、途方に暮れたように声を上げた。


「おいおいマジかよォ! ホラー映画の最後で妙なもんが蘇って『続編へ続く!』みてェな奴じゃねえか……」


 そんな二人に、しかし紙面を眺めていたヤスが「待ってくださいッス」と呟いた。


「でもこれ、文責が氷室じゃないッス。それに……この内容」


 そう言う彼に頷いて、そこで美月が、本文を音読した。


「……『数年おきに恒例となっている、学校の七不思議特集。しかしながら今回集まった七不思議はたった二つでした。ですがコーナーとしてスペースを頂いた以上は何もなしというわけにもいかないので、ここで紹介します』――」


 そんな文章の後に、まず掲載されていたのは六花がいつか語ったものと同じ、園芸部に伝わる「鳥居」の七不思議。

 そして、もうひとつは……


「『“旧校舎に出現する、ヤクザの亡霊”。崩落して取り壊しが決まった旧校舎。しかしそこには、かつて抗争で刺されて死んだヤクザの亡霊が出没し、夜な夜な舎弟を引き連れて旧校舎に巣食う怪異たちをどつき回しているらしい』……だって」


 笑いをこらえながらそう読み上げた美月に、憮然とした表情で東郷は呟いた。


「…………いや、死んでねえって」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る