第8話 保健室
保健室
「田中先生!」
山田が呼ぶが
返事がない・・・
居ないようだ
「失礼しま~す」
山田はそう言って
俺をカーテンの向こうにあるベッドへ連れて行った
俺はそこに着くと
ゆっくりベッドに腰かけた
「ちょっと待ってろよ」
山田は冷蔵庫の方へ行って
氷を袋に入れる
俺は上靴を脱いで
ベッドに上がった
「これで冷やしとけ!!」
山田は俺に氷の入った袋を軽く投げた
「大丈夫か?
仲山
白目むいてたぞ
女子は完璧に引いてたな」
マジか・・・マジで恥ずかしい
山田はニタニタ笑いながら
ベッドの横にパイプ椅子を置き
腰かけながら言った
「昨日、真尋(まひろ)に傘貸してくれたって?
もしかして
それで
風邪ひいちゃった?」
真尋・・・
傘貸した・・・真尋
片瀬の事?
片瀬って下の名前
真尋って言うんだ
って言うか
片瀬の事
下の名前で呼んでんのか?
どういう関係なんだよ!!
「格好つけすぎちゃったかな?」
何だよその言い方
何だよそのニタニタした笑顔
それに
何で知ってんだよ・・・傘貸したってこと
俺は山田を睨みつける
「そんなに睨むなよ
心配してるんだから
ありがとうな
真尋・・・喘息持ちだから
風邪ひくと厄介なんだ
仲山が傘を貸してくれたから
濡れて帰らなくて済んだ
ありがとう
傘は昇降口の傘立てに置いてるから」
・・・ ・・・
どうして山田が礼を言うんだ
これは
片瀬の問題だろ!
もっと言うなら
俺と片瀬の問題だろ!!
俺は悔しくて
拳を握りしめた
”ガラガラガラ”
戸の開く音
山田は立ち上がり
カーテンを開く
「あっ田中先生
勝手に入ってすみません
仲山が教室で倒れまして・・・」
そう言って保険の先生に
俺が白目をむいて倒れて
後頭部をうった事
氷で頭を冷やしていることを説明すると
山田はこちらを少し見て
「じゃ
俺は教室に戻るからな
お大事に」
そう言って
出て行った
真尋・・・真尋・・・真尋
俺は今日
今、しったばかりの片瀬の名前を
頭の中で呼んでみた
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