第3話 口止め

放課後

部室へ行こうとすると

山田が声をかけてきた


「おい、ちょっといいか?」


俺は廊下の隅に呼ばれる


山田は周りを見て

誰もいないことを確認し

話し始めた


「さっき

どう思った?」


・・・なんの確認だ?これは


「さっきって?」


聞きたいことは分かっている

だけど

どういえばいい?


しらばっくれるセリフはたどたどしくて

そんな俺を見て

山田は何かを思ったようで

少し笑う


「そっか・・・分かった

ま、いいや

言うなよ!!」


そう言って

俺の頭を軽く撫でて行った

不愉快な子ども扱い


何が分かったんだ?

”ま、いいや”

ってどういう事なんだ


何だその余裕


俺がもしも誰かに言ったら

誰もいない教室で

カーテン閉め切って

山田と片瀬が・・・居た事を言ったとしたら

あっという間に噂はひろまって

ある事ない事

そんあ面白いネタには

尾びれはびれがついて

大変な事になる


そうしたら

山田は生徒に手を出すようなハレンチ教師として懲戒免職

片瀬だって

派手目の女子からの人気のある山田に手を出して

辞めさせた悪女のような扱いをされて

学校にこれなくなってしまうかもしれない


静かな子だから・・・


そんなレッテルに耐えられない


なのに

良いのか?

もっと俺に口止めしなくても・・・

良いのか?


少し笑った

あの表情が


お前はおこちゃまだから

外野で黙っとけよ!!


と簡単にあしらわれた様で

馬鹿にされたようで

相手にもされていないようで

悔しい


だけどさ

悔しいけどさ

そりゃ

言わないよ

言えないよ


それは山田のためじゃない

あいつが職を失っても

何にも感じもしない


ただ

片瀬を思うと

言えるわけないよ

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