第2話 揺らぐカーテン

体育の時間

教室に貴重品を忘れていることに気が付いた俺は

それを取りに戻った


教室の後ろの戸を開ける


”ガラガラガラ”


空っぽのはずの教室

だったはずなのに

そこには


片瀬が・・・


どうして?


それよりも

驚いたのは


片瀬が一人ではなく

一緒にいたのは現代社会の先生・・・山田(やまだ)


今、慌てて離れたように見えたけど

もしかして・・・

キスしてた?


教室の後ろで

固まってしまっている俺に

山田は


「どうした?忘れ物か?」


何も動じることは無く

そう言って

こちらを見る


「ああ・・・うん」


そう答えると

俺は自分の席に行き

鞄から財布とスマホを取り出す


山田は彼女から離れ

黒板に背中をつけて腕組みをし

こちらを邪魔そうな顔で見た


そんな視線に気が付きながらも

俺は山田の方ではなく

片瀬の方を見る

気になったんだ


彼女はこちらから目を逸らすように

窓の方をうつむき気味に見ている

閉め切ったカーテンが揺らいで

少し光が入る


片瀬ってこんなに綺麗だったっけ?


俺はしばらく見とれていた


グラウンドから

体育の授業の声が聞こえ

我に返る


早く戻らきゃ!!


俺は彼女に声をかけることなく

教室を後にした


授業中

俺は教室が気になっている


やはり

カーテンが閉まったままだ


まだ居るのかな?二人

片瀬と・・・山田


「正吾、どうした?

さっきから変だぞ!!」


甲が肩を組んでくる


「べつに・・・」


ふざける表情が不快に思う


「何だよ?

何で怒ってんの?」


八つ当たりだ

俺は機嫌が悪かった

それは十分に自覚はあった


だけど

どうして

どうしてこんなに機嫌が悪くなってしまうのかは

自分でもよく分からなかった






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