第3話
私の名前は未来
この名前が嫌いだった
父でもなく、母でもない、教師だった祖父がつけた名前だ
厳格で利己主義な祖父
私はあの人が嫌いだった
浮気性の父に、うつ病でいつも死んでいるかような母の間に生まれた私
学校ではイジメにあい 友達も 一人もいない
そんな私のどこに、未来なんてあるの
それなのに、そんな私の両親を見捨て、何を私に託したのか
祖父は未来へと羽ばたかせようとする
だから、私は生まれ変わった
未来は笑ったのか、裂けた口角が吊り上がり、鋭利に突き出た嘴を僕に向けて来た。
未来、君は本当に、それでいいのかい?
僕の問いに、未来は言葉では返さず、背中の羽を大きく広げた
神は私の願いを叶えてはくれなかった。
本当は黒の堕天使カデルエルを願ったのに
神は何故、このような姿に私を変えたのだろう
あの美しかった、未来の白い手
今は、薄気味悪い灰色とした手に、茶褐色の斑紋が浮き出ている
時間がない
私は、あと少しの時間で、ただの下等な生き物になる
その前に、あなたにはしてもらうことがある
僕にしてもらいたいこと?
そうだ
未来は、不意に羽を羽ばたかせると、ふわりと宙に浮き
そして、剥き出しのかぎ爪が、僕に向けてくる
痛いよ、未来
しかし、僕の言葉なんか上の空で、未来はかぎ爪を僕の体に食い込ませると
学校の屋上から、一気に空へと羽ばたいた
さよならイエスタデイ ドクターウトカ @momonga2020
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