私と読者と仲間たち

影神

にゃぁ、



祖父は本が好きだった。




僕が小さな頃によく読んでくれた。






祖父が読んでくれる本の中で一番好きな話は、




冒険物のやつだった。




詳しくはもう、覚えてない。






何せ何十年って前の話だから、、






ただ、冒険の話だった様な覚えはあった。






祖父は祖母を亡くし、




しばらくもしない間に亡くなってしまった。






僕は祖父が大好きだった。




故に、祖父が居なくなってしまった事を




現実として、受け入れる事が難しかった。






『本の中には、沢山の世界がある。






本は、本の中の世界は、読者を探している。






何せ、本は読まれない限り、始まらず、




そして、終わる事すらないからだ。






だから、沢山の世界を知り、




沢山の本の世界の者と知り合うといい。






時に"仲間"と呼べる者すらも出来るだろう。』






そう、祖父からよく言われた。






少年期「おじいちゃん、、




おじいちゃんが居なくなったら、、




誰が、、本の世界の人と仲良くするのさ、、




、、、、」






昔の記憶がたまに蘇る。




鮮明に、夢にまで見る程に、、






だが、祖父が読んでくれていた本が見当たらない。




何処にもないのだ。






あれほど沢山の物語を読んでくれたのに、




祖父が読んでいてくれた本は一冊もないのだ。






気になった僕は彼岸を迎え、




久しぶりに祖父の家に行くことにした。






祖父が亡くなって以来、




もう、それ以来、ここの場所には来なかった。




敷地に入ると何故か緊張し、唾を飲み込む。






正直、今でも、夢に見るくらい、




祖父の存在は偉大で、




いくら時が流れても忘れる事が出来ないのだろう、、






田舎にある祖父の家は特に誰も居ない。






鍵を開け、中へと入ると、古い昔の匂いがする。






場所に慣れると、久しぶりの祖父の家は安心感が漂う。






今は彼岸やお盆に親戚が集まる場所として、




そうゆう場所に使われているみたいだ。






近所の親戚が時々手入れをしているらしく、




鍵も親戚が持っていると言う事だった為、




僕は親戚の家へ向かい、適当に挨拶を済ませ、




早々と、祖父の家へと向かった。






そうして、今に至る訳だ。






物は起きっぱなしで、使わない物は大体が、




部屋の中へとしまわれている。






おじいちゃんの部屋は、、






「にゃぁ、、」




不意に猫の声がした。






ん?




野良猫でも居るのだろうか、、






部屋の扉に手をかけるも、




歪んでしまったのか、びくともしない。






諦めて、祖母の部屋から入るか、、




祖母の部屋と祖父の部屋は隣接しており、




祖母が亡くなった後に、祖父は隣に移動したらしい。






元々あまり、仲が良くは無かったと聞いていたが、




でも、最後には、祖父は祖母の隣に居たいと、




そう、想ったのだろうか。






死人に口無し






とは、よく言ったものだ。






祖母の部屋は綺麗だった。




祖母が寝ていたであろうベッドは、




綺麗に布団がまだ敷いてあった。






古っぽい、棚のような上には、




祖父との昔の写真が飾られていた。






結婚の時の写真だろうか。






祖母はそれなりに綺麗だった。




こんな、顔をしていたんだな。






祖母とは面識が無かった。




物心着いた時には祖父しか居なかったから、






おばあちゃん。




お邪魔してるよ。






そう心に思い、部屋を後にした。




って言うか、仲が悪いのに、写真飾るか?






そんな疑問を持ちかけた時、




違和感が襲う。






何で部屋が少し開いてんだ。




扉は手が入るぐらい、開いていた。






親戚が閉め忘れたのか??




いや、部屋には一切入ってないと、




そう言っていたはず、、、






何でだ。




扉を開けようとした時、再び猫の声が






「にゃー、、」






中に居るのか?






先程同様に扉は硬く、それを勢いよく開けると、




思ったよりも、力が入り過ぎて、




変な方向へと力が働いた。






いてっ、、




部屋へと、転げ入った先には沢山の本が。






が、、直ぐ様異変に気付く、、




目の前には光が。






球体の様なそれは、水状の様で、




辺りには緩い風が吹いている。






なんだ、、、これ。






「にゃぁ、」






下に開かれた本には何も書かれておらず、




そこから声がする。






まさか、、




そんな、、アニメみたいな、、ねえ。






その時、ふと思い出す。






『本の中には、沢山の世界がある。






本は、本の中の世界は、読者を探している。






何せ、本は読まれない限り、始まらず、




そして、終わる事すらないからだ。






だから、沢山の世界を知り、




沢山の本の世界の者と知り合うといい。






時に"仲間"と呼べる者すらも出来るだろう。』








球体の様な物に触れると、




僕は一瞬にして引き込まれた。






うわぁああああ!!!


















































































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