もふもふ系小説家として思うこと

八百十三

もふもふ系小説家として思うこと

 お題を見て、一瞬頭を抱えた。

 「私と読者と仲間たち」。

 そんな、WEB小説書きが皆、他人と仲良くして交流しあっているみたいな、そんな学校の先生みたいな決め打ちしてこなくてもいいじゃないか。

 自分みたいな、あまり他の作者さんと積極的に関わらないで、自分の世界にどっぷり埋没しているようなタイプにはつらいお題だ。

 でも書く。思うところはあるので。


 先程も述べた通り、自分はそこまで積極的に他の作者さんと交流したり、相互に読み合ったり、相談し合ったりということをしない。

 そりゃ、WEB小説書きはみんな仲間、みたいな連帯感を持たないわけではない。TwitterではWEB小説アカウントからフォローを貰ったら、なるべくフォローを返すようにしている。

 けれど、それはあくまでも同じプラットフォームで活動しているからという、ゆるい連帯感だ。学校のクラスメイトとか同級生とか、そんなくらいのノリである。


 でも、各々書きたいもの、書いて表現したいもの、書いた先に目指すものは全然違う。本気でプロ作家になりたい人もいれば、投稿サイトのランキング上位に載ることを目標としている人もいる。はたまた、とにかく書くことが好きで、結果なんて二の次という人もいる。

 自分は最後のパターン。とにかく自分の頭の中に浮かんだものを、自分の書きたいように、形にすることに喜びを見出すタイプである。

 一日の累計PVが一桁だろうが、ブクマ数や応援のハート数、レビューの星が少なかろうが、ランキングに影も形もいなかろうが、それらは全く問題にはならない。せいぜい「あーこの作品は読まれないし、評価もされないんだなー」と思うくらいである。

 でもだからと言って、その作品を書きたい気持ちが萎えるわけではない。だって書くことそのものが目的だから。読まれることに重きを置いていないから、それでもいいのだ。

 だから世間一般のWEB小説書きの皆さんが読者獲得に奮闘しているのを、若干遠巻きにしながら「皆さん頑張っているなー」と見ている感覚だったりする。


 ただそんな自分にも、「自分がどういうタイプの小説を書く人間か」というカテゴリ分けは出来ていたりする。

 それがタイトルにもある通りの、「もふもふ系小説家」というくくりだ。

 まあ、自分はTwitterでもふもふを演じているし、もふもふした愛らしいグルメ生物と友人たちから見られている生き物だが、そういう意味合いではなく。「もふもふした小説を書く小説書き」というカテゴリだ。

 実際、自分にとっての代表作である「魔狼王(着ぐるみ)が往く!~勇者パーティーから暑苦しいと追放された着ぐるみ士の俺、世界最強のステータスに目覚めたので神獣と一緒に見返します~」なんて、主人公からパーティーメンバーに至るまで、全員須らくもふもふである。着ぐるみかわいいよ着ぐるみ。

 この作品に限った話ではないが、自分の数十ある作品において、獣人や動物、魔物などの人間に友好的でもふもふした生物の占めるウェイトは殊更に大きい。

 更に言うなれば、多くの作品において雰囲気が平和で柔らかく、温かみのある世界観である。

 故に、「もふもふ系小説家」である。


 自分の目に映る範囲で、このカテゴリに属する小説家、およびWEB小説書きの方は、数人いる。その方々とはTwitterでも積極的に交流しているし、作品に意識して目を通すようにもしている。

 彼らに関して言えば、狭義の意味で仲間とも呼べるかもしれない。

 でも、仲間と呼ぶには自分は大っぴらに言える実績を残してもいないし、若干気後れしてしまうところは、あったりもする。


 気後れするという意味で言えば、読者の皆さんに対してもそうだ。

 自分は我ながら頭がおかしいと思うが、長編の同時連載数がもう両手で数えられない。それらの作品をとっかえひっかえ、日によって更新する作品を変えて書いているのである。なんならそれらに加えて、非公開の作品を書き溜めることもある。

 そしてそれぞれの作品について、作品を好いてくれて読んでくれている読者の方が、有り難いことにいてくださっている。更新したらすぐに感想を送ってくださる方もいらっしゃる。有り難い。

 有り難いと思うと同時に、「更新が気ままで申し訳ない」とも思うのである。

 最近意識して執筆するようにしている「魔狼王(略)」はともかく、他の作品は一ヶ月に一度か二度、もっとペースが落ちると二ヶ月に一度というペース。待たせまくっているわけだ。

 それでも見限らないで、こんなに自分の好き勝手に書いている文章を読んで、好きだと言ってくださって、皆さん本当にありがとうございます。


 とはいえ、自分も小説書きとしての自負はある。

 読者の皆さんに楽しんでもらえる作品を書き上げたいという思いは強くある。

 仲間である他の小説書きの皆さんの熱意に、負けないようにしたいと思う気持ちもある。

 自分の売りであるポイントも理解しているつもりだ。

 なので、まだまだ書くことは辞めないし、辞められない。辞める気もない。

 読者の皆さんや志を共にする仲間に置いては、今後ともお付き合いをいただければ幸いである。

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