『2、電車で尾行って出来るんだ』
俺たちも改札を通って
剣崎刑事は新宿駅で
俺たちは剣崎刑事が乗ったと思われる小田急線の次の
時計を見ると、もう
「すごい……こんな
タクシーを降りた時、思わずボソッと呟いたら、芽衣がお目々をキラキラさせて食い気味で同意してきた。
「ほんと、まるで小説の探偵みたいだね」
いや、どちらかと言うと浮気調査をしている探偵みたいだ、と思ったが、美波ちゃんがコホンと咳払いをしたので、俺も芽衣も不謹慎だった事に気付き神妙な顔を慌てて取り
「……で、剣崎刑事は本当にこの大学の中にいるのか?」
「うん、たぶん。GPS発信機は、アプリの地図で見ると……ここ、ここにあるよ!」
「う~ん……ここって……キャンパス案内図には
「よし、とにかく行ってみよう」
スマホで薬用植物園までの
確かに二人は目立つ美少女だ。
黒髪ストレートをツインテールにした清楚なアイドル系と、金髪ショートのクールなパンク系、
そんな二人と一緒に歩いている地味で無個性な俺は、彼らの目にいったいどう映っているのか……深く考えると
薬用植物園にはガラスのドームを持つ
なんと、その建物の中からタイミング良く剣崎刑事が出てきた。
彼女の少し後ろを、落ち着いた雰囲気の
あの人が剣崎刑事が誰かと通話している時に言っていた『次の参考人』か?
年齢から言って、十中八九、大学生ではないだろう。もしかして
スマホで彼の顔を
剣崎刑事は、彼と並んで歩き始めた。
ヤバイ、こっちに来る!
俺たちは慌てて走り、手近な
剣崎刑事と彼の様子を
剣崎刑事は両手を腰に当て
「あなた達っ! 吉川歯科クリニックにいたわよねっ? あの街の駅でも会ったし、こんな場所でまで会うなんて、どういう事っ?」
正面から睨み付けられ思いっ切りビビッたが、ここで
「あっ、そ、そう言われれば、す、すごい
「本当に偶然かしら?」
俺たちはそろって
それを見て剣崎刑事は呆れたように溜息をつく。
「なんて子たちなの? 私の後を付けてきたのね? いったいどうやって?」
「それは、その……」
「これは
芽衣と美波ちゃんはいじらしく口をつぐんだが、俺は五秒で
「す、すみませんっ! 実は──っ」
「お兄ちゃんダメっ!」
「お兄さんダメですよっ!」
二人に声をそろえて止められたが、俺は、自宅最寄駅の改札前で剣崎刑事に話しかけた時に隙を見てGPS発信機をカバンに入れた事と、その位置情報を頼りにここまで追って来た事を正直に話した。
ただし、誰がGPS発信機をカバンに入れたのかは言わなかった。芽衣と美波ちゃんは俺が無理やり巻き込んだ事にしようと、それだけは心に
剣崎刑事はカバンの中をゴソゴソと探り、芽衣が忍び込ませたGPS発信機を見付けると、俺に突き付けるようにして返してきた。気まずい思いでそれを受け取る。
「まったく、
「え、あ、はあ……まあ、その……」
俺がしどろもどろに何か言おうとしたその時、ふふっ、と柔らかな笑い声が聞こえた。笑い声の主は剣崎刑事と一緒にいた中年男性だった。
「刑事さん、見たところ、彼女たち二人は高校生でしょう。彼も大学生くらいの年齢だ。お
「
「うん、検討する
彼はまた柔らかく笑った。どうやらこの事態を面白がっているようだ。
不思議な雰囲気の人だ。
彼の周りだけ時間がゆっくり流れているような感じがする。
「それじゃあ、私はこれで……」
彼は俺たちを安心させるように何度か頷くと、物静かな調子で剣崎刑事に軽く会釈をして、俺たちの居る場所からゆったりとした足取りで離れて行った。
あっ、と
◆◆◆
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