『2、美人歯科医のバイト面接』
さて、三日後の木曜日──
芽衣は五つ年下の十六歳で、
その妹が、両手を
「お兄ちゃん、初めてお仕事の面接に行くんでしょう。もっと真面目っぽくて清潔感のある服を選ばないとダメだよ。そんな恰好じゃ全然イケてない」
真面目っぽいという
「はい。サッサと
パンパンと両手を
「髪も少しセットするね」
そう言って
そんなこんなで、バタバタと
スマホのナビを見ながら母親に紹介された歯科クリニックに
四月も
面接をとっとと
「確か、この辺りのはずなんだが……」
暑さで息を切らして見上げた
建物の奥には狭いが
しかも、玄関の扉はアールヌーヴォー風の
自分が
ごくり、と
しかし、そんな事も言ってはいられない。母親に行けと言われただけのバイトの面接だが、
はあ、早くまったりしたい。
玄関を開けると、
「どうぞ、
俺は、この時、完全に
医師といわれるとなんとなく男性を思い浮かべてしまう
クリーンな
診察室の左側には二つ
ノックをして
スタッフルームは物が多いがそれなりに片付けられていて、
ただし、洒落ているのはそのテーブルだけで、それ以外はクリニックらしいシンプルなインテリアだった。その
建物の
その中で、
「初めまして。私が
「え、あ……
ここの歯科医師は女性だったのか──と、この時、やっと気が付いた。
ものすごい美人だ。
白い
女性の
「君が
美しい人は手のひらでふわりと自分と
「どうぞ、お
「うちは今、私と、
可能か
「はあ、まあ、
吉川先生はろくに俺の履歴書も見ずに
「明日から働いて欲しいんだけど、
「は?」
今、この人、なんて言った?
明日から働いて欲しいって言わなかったか?
ちょっと待て。理解できん。どう見ても女性しかいないように見えるこのクリニックで、男の俺を雇って、そっちこそ大丈夫なのか? 着替えとか、着替えとか、着替えとかーっ!
「君に決めました。君を雇います」
「えっ? ええーっ? 俺を雇うんですかーっ?」
思わず
その次の
しまった、やられた!
これは
完全にうちの母親の
この面接は
うぐっ、と俺は声を
その
こんな
いや、存在し
吉川先生はトドメを
「では、明日から、うちのクリニックの診療日の月曜日から金曜日まで、毎日、午後二時までには来て、スタッフルームで着替えを済ませて
「な、え? はあ……?」
「真之くん、明日からよろしくね」
吉川先生は
◆◆◆
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