第7話 申述書をまとめるために集まる
ということでとある日曜日にファミレスに集まって兄妹会議を開催することに。議題はもちろん相続放棄の書類確認と戸籍謄本の受け渡し。ヒカルは自分で書類ダウンロードして書いてきたが、ツグオは家にプリンタがないとかで私が用意した紙にその場で書いていく。
「戸籍謄本は?」
「ほいこれ。」
「わたしのはこれ。」
市町村によって微妙に書式が違ったり、紙が違ったりして面白い。でもちょっとまて。
「これ、一部事項証明だよ?全部事項証明がいいみたい」
昔からいう戸籍謄本は現在は全部事項証明書と言い、戸籍抄本のことは一部事項証明書というらしい。ツグオが持ってきたのは一部事項証明だった。
「ダメかな?」
「わからないけど、もしダメって言われた時が面倒だから、一応全部事項証明を取り直すのがいいんじゃないかな。」
「わかった。後で送るから。」
「それから、費用として800円の収入印紙と切手が必要みたいなんで、実費ってことでとりあえず千円徴収ね。」
費用と戸籍謄本と申述書を集める。わたしのだけ清水太郎から始まって岩田ノボルに繋がる家系の全体がわかるように戸籍謄本の枚数が多く、妹弟の分はそれぞれ一枚ずつの戸籍謄本で済む。それぞれクリップで止めてまとめた。
「ほんじゃあこれはこれで。あとでツグオの全部事項証明書が届いたら、収入印紙はって発送するから。」
「お願いします。」
とりあえずはこれで事務作業は終了。
「ねー土地ってどんなもんなの?」
ヒカルが聞いてきたので、固定資産税の請求をみせる。結構あちこちの土地が記載されているのだけれど、所番地を繋ぎ合わせていくと全体としては一箇所にまとまりそう。Google map使ってみると、茶畑とか雑木林とか、であるらしい。売れないこともなさそうだけれど、処分がめんどくさそう。
「うーん、もうちょっと家から近いとこならキャンプしたりとかで使えるかもだけどね。」
「そうだな、さすがに遠すぎて遊びに行くのも難しいや。」
微妙に名残惜しい。まあ降って沸いたように財産が手に入りかけたわけで、持っといてもいいかなと思うのは人情だろう。実際にはそれに倍する面倒ごとが一緒にくっついてきそうなので相続放棄を選んでいるわけだが。
久しぶりに兄妹だけで会ったので、その後軽くおしゃべりしてから解散した。
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