第17話 吸血姫さんは心に誓う。

 目を覚ますと隣に美少女が添い寝している。思わず襲いそうになる気持ちを抑えて頭を撫でてあげる。


 気持ち良さそうな顔をしているので5分くらいそのままにしているとゆっくりと目を開いている。


「おはよう」


「……おはよう」


 なんでこの状況で普通に挨拶できるんだろう。もっと動揺すると思っていたのに……なんか負けた気分だ。


「そういえばお名前聞いてなかったね。なんていうの?」


「……相沢琴美」


「いい名前だね」


「……」


 もともと無口なのかこっちから質問しないと会話が続かない。私が話しかけなかったらどうしているんだろう?


「琴美ちゃんはこれからどうしたいの?」


「……親に会いたくない」


「んー、じゃあ私の家に住んじゃう?」


「……ん」


 一緒に住むか聞くと流石に少し悩んだ素振りをしてから頷いた。琴美ちゃんの話から無いとは思うけど親に捜索願いとか出されたら私が誘拐したとかで捕まっちゃわないよね……?いや、そこはきっちりと対応するべきか。


「じゃあ荷物とかもあるだろうし最後だと思って私と一緒にご両親に挨拶に行こっか」


「……ん」


 いままで無表情だったがほんの少しだけ嫌な表情を浮かべた。知らない人の家にお邪魔することよりも親と会う方がインパクト足しては大きいのか。かなりひどい扱いを開けていたのかな。


「学校は普通に通うとして――そういえば友達っているの?」


「……」


 あれ、完全に無視を決め込まれた。もしかして地雷だったのかな?ここで気を使って本心を聞き出せないより、無理にでも聞いた方がこれからのためになるよね。


「もしかして、学校でもいじめられてるの?」


「……」


 今度はじっと睨みつけるように私を見てくる。正直琴美ちゃんの辛いところにズカズカと入り込むのは気が滅入る。


「安心して、私は味方だから。全部私がなんとかしてあげるよ」


 私は安心させるように優しく琴美ちゃんを包み込んであげる。すると昨日みたいにびくびく震え出して泣いちゃったみたいだ。


 表情に出ないのは心を閉ざしているだけできっと感情豊かなのかもしれない。そう思うといじめっ子や親が余計に許せない。


 正直言って私に依存させるという打算もあるのだが、ここまで深入りしたのなら絶対に解決して琴美ちゃんを幸せにしようと誓った。

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