第16話 美少女さんの過去。

 わたしは不幸だ……


 その一言で今までの人生をまとめられる。子供がどう足掻こうとも大したことはできずに、悪い環境から抜け出すことはできない。


 両親はホストに通ったりアルコール依存症だったりで本当に碌でもない。そのうえ、わたしには鬱憤を晴らすために暴言や暴力を平気で振るってくる。


 親族は両親しかいないため誰も2人のストッパーになることはなかった。


 学校生活でも不幸だった。


 幼稚園児の頃はよく覚えていないが小学生の時はくだらないことで騒ぎ出す男子のせいで不名誉なことを被ることがよくあった。あの年頃だと些細なことでもみんな気にするからすぐに噂が広がってマイナスな印象をつけられることがよくあった。


 両親のせいでわたしは小さい頃から大人びていたのと、あまり喋るのとか表情を表に出すことがあまりなくて不気味がられていたことから友達もいなかった。


 中学生に上がって、そんな印象を無くそうと上っ面だけは笑顔でポジティブな性格にするようにした。


 それだけで簡単に仲がいい友達ができた。まあお互いに上部だけだと思うが……


 でもわたしは容姿が整っていて明るい性格と相まってすごくモテるようになった。週に一回は告白されるし廊下とか歩いていても男子からの視線をよく感じる。


 2年に上がってからもそれは変わらず同級生のサッカー部エースの大沢くんにまで告白された。わたしには家で暴言暴力を受けていて恋愛とかの余裕がないので告白は全て断っている。でも彼は何回もアプローチをかけてきてその後も告白を繰り返す。それでも全て断り続けていたら、彼を好きな女の子――桐崎さんからいじめられるようになった。


 もともとモテていたけど告白は全て断っていたことでも女子から嫉妬されて陰口とかを浴びることはよくあった。でも彼女はわざと聞こえるようにとか物を隠したりとか普通にいじめてくる。そして気づいたら援助交際してるとか薬物やってるとか根も葉もない噂が立つようになっていた。


 本当にくだらない……。このままでは小学生の頃と変わらないと思って友達に相談したりしていたが気づいたら周りには誰も居なくなっていて孤立した。


 反抗しなくなったわたしを見てからいじめはさらにエスカレートして男を誘惑して告白を断る遊びをしているとか噂も立ち始めた。落ち込んでいる大沢くんに優しく励ましていた桐崎さんは気づいたら付き合っていて2人してわたしを取り巻き達と一緒にいじめるようになってきた。


 両親は外面ではエリートを装っていて何度か相談所みたいなところに電話したこともあるけど何も解決しなかった。


 学校の先生は小学校はじゃれ合いだとまともに対応してくれなかったり、中学校の先生は事なかれ主義で「いずれどうにかなる」とか適当にはぐらかされる。


 わたし自身でどうにかしようとも周りが対応してくれない。スマホを親に買ってもらっていないので証拠映像とかを抑えることができないし最近では男子から顔とかに暴力を振るってくることも増えてきた。両親は肌が見えるところには傷を残さなかったけど中学生はあと先のことなんて気にしない。


 もう耐えられない……。そう思って意味もなく駅に飛び出して行くあてもないのでベンチに座っていたら声をかけられた。


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