第11話 吸血姫さんはMVPになる。
激しい撃ち合いの末に安全地帯の収束が始まったのでアルティメットを2つ使って移動を始めてきた。
それをみた私はアビリティを使って仲間のもとへすぐに引いた。
この時私は浮かれていた。自分の身体がハイスペックなのと、神エイムでヘッドショットを決められる優越感で油断していたのだ。
スバッーン!!
『ラフィーはtemによってダウンしました』
「え?」
私はその瞬間何が起きたのかよく理解できなかった。ログには私がダウンしたことが流れていて、私のキャラもダウン状態となって四つん這いになっていた。
そして、目を凝らしてみると相手2人が安全地帯に移動していてもう1人は自害覚悟で安全地帯の外の高台からラフィーを撃ち抜いたのだ。
「ごめんなさいっ!安全地帯の外から狙撃です。外のダメージでもうダウンしているので2on2です」
「ドンマイ!あとは任せてくれ!」
『ストーンがgivnによってダウンしました』
私がすぐに伝達して月見さんがダウンしたとログが流れる。
「ツキミ、直下グレネードだ!」
「なんだって!?」
直下グレネードとは、グレネードの投げてからの爆発時間を予測して、山形に投げるようにして相手に近づいた瞬間爆発すると言うものだ。
だが、一つのグレネードでは体力の半分しか削らないので相手2人が同時に投げて直下グレネードを成功させたということになる。
そのあとは1on2となって呆気なく負けてしまった。
私が油断しないで索敵と射線を切りながら移動していたら勝っていたかもしれないだろう。
「ごめんなさい。私が油断したせいですね……」
「そんなことないよ!ラフィーさんがいなかったらここまで来れなかったしね」
「ソウダネ。安全地帯の外カラだナンテ予測できないヨ。結果発表をミヨウ!」
「ありがとう。月見さん、ストーンさん」
そうして結果発表となり1位は最後に戦ったプロチームだった。今年で四年連続らしい。
私たちは一つ順位を上げて2位となった。今日初対面のチームが2位だったことや、私のヘッドショットで会場は大いに盛り上がっていたらしい。
『それでは最後に今大会のMVPを発表します!!』
「MVP?」
「MVPはね大会全体を評価して一番優れた人がなれるんだよ」
「いつもは上手なプレイヤーとかヨリモ、有名ナ配信者がトリックをしてスーパープレイが評価されてなったりすることが多いヨ」
私が疑問に思っていると2人が説明してくれた。まあ有名人をMVPにした方が知名度的にゲームも広まっていくからそっちの方がいいのか。
『第8回AJEX CUPのMVPは……ラフィー選手です!!』
「えっ!?」
「よかったね!ラフィーさん!」
「ラフィーならMVPダト思ってイタヨ!」
『ラフィー選手といったら人間技だと思えないほど精密なエイムや足が速くなるアビリティを活かした近距離戦闘などが特徴の選手ですね』
『その通りです!最後の二つ同時の直下グレネードも良かったのですが、その前のプロ3人に対して1人で牽制したりと素晴らしいエイムを見せてくれました!』
まさか私がMVPに選ばれるなんて思っていなかった。確かにエイムではこの中で一番の自信があるけど……立ち回りとかは2人に支えてもらってばっかだし、何より私知名度なんてないよね???
『ラフィー選手にはゲームコイン10万円分とトロフィーを贈呈します!――それでは以上を持って第8回AJEX CUPを終了とします!これからもAJEXをぜひ利用して楽しんでください!ご静聴ありがとうございました!』
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