第10話 吸血姫さんはチートエイムを披露する。

 最後の試合が始まった。


 初動でお気に入りのショットガンとリボルバーを手に入れられて幸先の良いスタートとなった。


「あまり接敵しませんね」


「そうだね、あっちから銃声聞こえるけど漁夫狙ってみる?」


「ガンガン攻めちゃオウ!!」


 残りチームが半分となって接敵しなかったがここで攻めることにした。


「800メートル先にいますね」


「うん、ここから詰めるのは危険だから遠距離射撃で嫌がらせでもしようか」


「ラフィーのヘッドショットをおみまいシチャッテ」


 私は偏差をよく考えて相手の動きを予想しながら弾丸を打ち込む。1発目と2発目は外れたが3発目と4発目がヘッドとボディーに当たる


 800メートル先をリボルバーで当てることさえ難しい。だが、私ならヘッドショットさえも可能にする。当てられた時の優越感といったらもう半端ない。


「ヘッドとボディー当たりました。あと1発……あっダウン取れましたね」


 相手が射線を切ろうと逃げようとしたところを偏差でヘッドショットキルをする。


「ラフィーさん、ナイス!」


「キルポイントうまうまダネ」


 そして私たちが妨害していない方のチームが妨害してた方を全滅させる。ドームシールドを出すアビリティでいまから詰めても立て直されてしまうので引くことにする。


 そして最終局面となる。あの後、2チームと接敵して両方とも全滅させることに成功して、残りチームは私たちと現在一位のチームだ。


「最後倒せれば優勝できますね!」


「うーん、ちょっとまずいかもね」


 私たちは安全地帯に入っていて高台も取っている。一位のチームはアンチに入ってないし、私たちより低いところにいるから有利なはずだ。


「え?どうしてですか?」


「ソウダネ、相手のアルティメットで空爆と空間転移を2つ使えば安全地帯にスグ入れるしソノ場所の方が有利ナンダヨ」


「ストーンさんの言う通りだね。相手が空爆を使ってきたらすぐに引か必要があるから」


 私はまだ始めたばかりでそこまで立ち回りを理解しきれていない。ベテランの2人が言うのであればそうなんだろう。


「私が一人で牽制しておくので2人は先に強ポジに向かっておいてください。私のキャラクターは足が速くなるので最悪すぐに引くことができます」


「わかった、それが一番良いね」


「オンナノコに任せるナンテ不甲斐ないけど気をつけてネ」


「はい!」


 そして1対3の撃ち合いが始まった。もちろん使うのはリボルバーで相手が顔を出した瞬間に凄まじい動体視力と瞬発力でヘッドショットを狙いにいく。


ぱんっ!ぱんっ!……ぱんっぱんっぱんっ!


 単発武器だが一発のダメージが大きいので反動が大きい。フリックショットで果敢に連射していく。


 5発中2発がヘッドショットを決める。射線を切ってすぐに回復されてしまったがうまく完成できているだろう。


 相手が顔を出した瞬間、嫌な予感がしたのですぐにしゃがんで射線を切る。


スバッーン!!


 頭があったところにスナイパーの弾が通り過ぎた。銃声から、おそらくレジェンド武器のスナイパーだと予測する。胴体でも体力が4分の3削れるしヘッドショットだと一撃でダウンだ。


 安全地帯が収束するまであと一分。短いようで長いその一分に全神経を込めて集中する。


「ふぅ……よしっ!」


 気合を入れて撃ち合いを再開する。さっきよりも顔を出す時間を短くして――ほぼ一瞬だが――なんとか牽制する。


 相手もトップクラスのプロなので仲間との連携や変則的な動きで私の弾はほとんど当たらなくなった。


ぱんっ!


「よし!胴体1発」


 被弾ゼロで相手の胴体に一発撃ち込んだ。

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