第9話 吸血姫さんは大会に出る。
メールから1週間後ゲームの大会の日となった。
今回の世界大会は日本で行われるということで、大会に出るプロゲーマーや配信者の人たちが同じ会場に集まることとなっている。
ゲーム機器は運営のほうで用意することとなっていてマウスやコントローラーは用意された中から選択することになる。
今時ネットでできるんだからわざわざ足を運ばなくても……と思うかもしれないが、実際第3回の時にライバルの家に盗聴器と監視カメラを仕掛けてゴースティングしたという事例があったのだ。それを機にこのゲームの大会は一つの会場に集まって不正がないようにしているとのことだ。
私としては不運でしかない。この制度のせいでこれからチームを組む人と顔を合わせる必要が出てくるからだ。
運営からのメールには大会に出れるのは、15チームはプロのクランからで4チームは配信者の再生数が多い人となっている。全部で20チームで戦闘するのであと一つはというと私のチームだ。
このチームは運営が個人に声をかけて参加に承諾した人で組まされるというものだ。顔を合わせたことはないけれど連絡先は交換済みで何回かチャットをしながら練習もしている。日本人とロシア人で両方とも男性だったのでへんに付き纏われたりしたくないなと思ってる。
普段は認識疎外の魔法で派手な容姿をしていても視線を集めたりすることはない。ただ顔と顔をしっかり合わせたり、相手がジロジロ見てきたら魔法の効果はない。クラブとかではそのせいで毎回ナンパされるんだよね。
さて顔合わせの時間だ。
「はじめまして、ラフィーです。月見さん、ストーンさん」
月見さんもストーンさんもユーザーネームだ。私の場合は考えるのがめんどくさかったので愛称のソファーを適当に変えてラフィーにした。
「は、はじめましてラフィーさん。……外国人とは聞いてたがこんなに綺麗だったなんて」
「ハジメマシテ、ラフィーはとってもキュートなんだネ。『君があまりに綺麗すぎて、思わず息を呑んじゃったよ』」
私は五感がとても優れているので小声で言ったであろう月見さんの声は聞こえている。
ストーンさんは日本の文化が好きでカタコトだが、日本語がとっても上手だ。だけどテンションが上がるとロシア語になって話すことがよくある。ゲーム中にストーンの通訳を月見さんにしてあげるのをよくしていた。
え?私?言語解析という魔法があってそれのおかげで内容は理解できるし、一度単語とかを聞いておけば脳内辞書に蓄積されるからほとんどロシア語はマスターした。
『ありがとう!』
軽く雑談をしてから試合が始まることとなった。実況解説の人が私を紹介するときに、晒されていた動画を引用しながら観客を盛り上げていた。
合計5試合でキル数や順位などをポイント化して競い合うのが公式のルールだ。
4試合が終わってランキングは3位となった。連携とかは他のチームに比べて練度は低いけどその分私のエイムでカバーしているおかげで好成績を収めることができた。
ちなみに武器は近距離最強のショットガンと当たれば強いリボルバーを中距離用として使っている。どちらも難しい武器だが、私にしてみればヘッドショットまでも狙える。自重なしでヘッドショットしまくった結果チート疑惑で晒されたんだけだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます