第3話 吸血姫さんは地球に戻る。

「うっ――頭いたい」


 長距離転移は遠ければ遠い程魔力を使うのだが長生き吸血姫がほとんど枯渇するほど魔力を消費しているのでかなりの長かったのだろう。


「それにしてもここ……」


 それは私にとって見慣れた懐かしい風景だった。転移する際地球の座標の他にこの風景を強く考えたのが影響したと思われる。


 私の容姿的に注目を集めるし、ワンピースドレスを着ているので人目のつかないところに移動したい。歩いてる途中犬の散歩をしている小さな女の子に声をかける。


「あの、すみません」


「わぁー綺麗な髪だ!お姉さんなぁに?」


「今って何年何月何日か教えてくれる?」


「そんなのも知らないのー?えっとね、2025年5月7日だよ!」


「そ、そうなんだ。ありがとう!これあげる」


 日付に動揺しながらもバレないように空間魔法で取り出したお菓子をお礼に渡して別れる。


 人の寄り付かない静かな公園のベンチに座って思考を巡らせる。


「確か死んだのって2020年だったよね?」


 死んでから5年しか経ってないってことは単純計算であっちの100年は地球の1年っていうことになる。


 それはいいとして、これからどうしよう……。お金がほしいよぉ。空間魔法で中に銀とか金とか入ってるけど売るには身分証必要だし。


 開き直って異世界から来た吸血姫です!!って言おうかな。一応あっちの世界では吸血鬼には人権与えられてたしね。


「はぁ……馬鹿みたいな妄想してないで考えないと」


 日本人として戸籍作るのは見た目的にも無理だから外国人として住民票作ろう!ネットで調べたいけどスマホもパソコンもないから駅の図書館に行こう。


 それから調べて必要なものは分かったけど書類は血魔法で偽装したの作り出して後は魅了魔法で職員さんに不正してもらうしかないよね。


 そうして、住民票の発行手続きを無事に終わらせる。あとは不老をどうやって誤魔化すかだけど産婦人科で子供を産むのを自作自演すれば戸籍が手に入るはずだから3世代くらいはそうやって生きていこうかな……。まあ魔法でなんとかなるよ!!


 あとは早くお金用意して住むところ決めないと外国人ホームレスで住民票持ってるとか笑えない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る