第5話 夜から朝へ

 ピンポーンというインターホンが鳴った。


 そしてドアを開けるとそこに立っていたのはパジャマに身を包んだ碧だった。


「今日まだベッドも布団も届いてなくて、部屋で寝れないから今日は一緒に寝てくれないかな?」


「は?」


 あおいの言葉に驚き俺は一瞬言葉を失った。




(まじかよ。思春期の男女が同じ屋根の下とか色々とやばいだろ。でも俺が断ると碧は寝れないんだよな。)


「わ、わかった。と、とりあえず中入れよ。」


「うん。ありがとう。」


 そして碧を俺は部屋に再び入れ、リビングに座る。碧はパジャマ姿で胸が見えそうなほど無防備な格好になっている。普通、男の部屋に入るのにそこまで無防備むぼうびな格好はしないと思うのだがそこには触れないでおこう。


「碧はドジなところ昔とちっとも変ってないな。野球やってた頃は大会当日にスパイク忘れて大騒ぎしてたしな。」


「こ、今回はたまたま業者さんに頼むのが遅くなっただけだし!」


(何よ!すぐるってばこんな無防備な格好してるのにそこに対して何も言ってこないなんて!私そんなに魅力ないのかな。。)


 そんなやりとりをしているうちに時計の針が23時55分を指していた。この時間にはすでに俺はいつも寝ている。俺は朝起きるのが遅くなってしまうため極力早く寝ている。しかし、いくら早く寝たとしても起きられないというのが現実だ。アラームも5分おきに設定しているのだが、もうちょっとだけと思っていると寝坊してしまうのだ。

 

「俺もうそろそろ寝ないと朝起きれないから寝ようか。俺がソファー使うから碧はベッド使ってくれたらいいよ。」


「うん。わかった。」


 そう言って俺はソファー、碧はベッドに行き眠りにつこうと目を閉じる。すると碧がとんでもないことを言い出す。


「ねぇ、傑。こっち来て久しぶりに一緒に寝ない?」


(さっき言ってた一緒に寝るっていうのはそういう意味だったのかよ。俺がやばいやつだったらどうするんだよ。)


「思春期の男女が同じベッドで寝るのは色々とマズいだろ。」


「昔は一緒にお風呂に入ったり、寝たりしてたから大丈夫だよ。」


 こう言うと碧は引かないということは昔からよく知っている。


「はあ、仕方ないか。でもその代わり背中を合わせて寝るんだからな。」


「うん!ありがとう。傑。」


 そして俺は、今碧が入っているベッドに入る。そして碧が壁側、俺がその反対を向いて寝ることになった。


「こうして寝るのも小学生頃以来だな。」


「ねぇ傑。また私と会えてうれしい?」


 そういいながら彼女は反対を向き俺の背中に顔を当ててきた。


「さ、さっきも言ったけど嬉しかったよ。」


「そっか。」


 その一言を返した彼女の顔は、月の光が差すこの暗い部屋でもわかるほどに赤くなっていた。


 

「チリリリリン」


 このアラームの音で俺は起きる。また新しい一日の始まりだ。今までの学校生活は憂鬱だったが碧が転校してきたことで少しは楽しくなるのではないかと思う。今日は時計の針が7時30分を指している。学校から俺のいるマンションは徒歩十五分の距離だから今日は余裕をもって準備できるということだ。


 それにしても今日は左手の感触がいつもと違って柔らかい気がする。そう思いながら左手のほうを見る。すると、そこには碧がいた。


(そうだった。昨日は碧と一緒に寝たんだった。じゃあこの左腕の感触は・・・)


 そう、俺は碧の胸を触っていたのだ。小学生のころのまな板だったが今は成長していてとても豊満になっている。


(ま、マズい。このまま碧が起きてしまったら俺は変態認定されてしまう。早く手をどかさなければ・・・)


 「傑、おはよう。なにやって・・・え!?」


 俺はゆっくり起こさないように手をよけようとしていたが、碧を起こしてしまった。それも揉んでいる状態のままで。


「ふーん。そんなに私の胸は気持ちよかったですか?傑くん。」


 碧は、怒ってはいないようだ。逆に胸をこちらに押し当ててくる。


「ほれほれ~気持ちいいですか?傑くん。」


 こんなことをしてくるってことは碧は痴女なのか?それとも単に俺がからかわれているだけなのだろうか。碧はなぜ俺にこんなことをするのだろうか。幼馴染だからだろうか。わからない。



こうして俺の一日はスタートするのだった。

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