スマホでSNS炎上を阻止する方法

アーカーシャチャンネル

本編

 時代は何でもスマートフォンに頼り切ってしまっている。もはや、スマホなしでは生活が成り立たないほどに。


 だからこそ、近年のスマホアプリブームが……という事かもしれない。便利な道具であっても使うものによっては正義にも悪にもなる。


 人を物理的に傷つけるような武器類は言うまでもなく、中には精神的に傷つけるという意味合いでコンテンツも凶器になりうる可能性があった。


 SNS炎上の案件を見ると、どうしてもありとあらゆるものが人を傷つける凶器になるという事を証明しているだろう。


 だからこそ、彼は覚悟したのかもしれない。ありとあらゆるSNS炎上を根絶するため、ある場所を舞台にしたバトルを……。



 主人公の青年は、服のポケットから取り出したスマートフォンを取り出し、それを左腕に装着したスマートフォン型腕時計と合体させる。


 そして、ある言葉を叫ぶことでパワードスーツ姿のヒーローに変身した。まるで、そのスマホは変身ベルトのような役割をしているかのように。



 これはあくまでもWEB小説の作品、ぶっちゃけてしまえばフィクションである。


 SNS炎上を根絶させるためのアイテムが、まさかのスマホだったのに加え、その機能にはリアルにはないであろう変身まであった。


 どう考えても特撮ヒーロー作品を意識しているかのようなギミックには、読者も困惑したに違いない。


 しかし、それを大真面目に再現しようという人物がいた。


 男性プロゲーマー、彼もSNS上での炎上の経験はないが、不特定多数の行う炎上に対して怒りを覚えている。


「SNS炎上を根絶させるためには、これを再現しなければ」


 WEB小説に登場するスマホは明らかにフィクションであり、それを再現することは不可能だろう。


 しかし、ある場所であれば……再現は可能。それを下調べしたうえで、あるものを試していた。



 場所は埼玉県草加市、ここでは様々なゲームに関して町をあげて盛り上げようと活動をしていたのである。


 だからこそ、プロゲーマーが考えていたギミックも……もしかしたら、再現可能と考えていた。


 事前に準備した拡張現実アプリ、それを利用して彼はあたかもWEB小説でのヒーローを再現しようと撮影を始めたのである。



 撮影の方は試行錯誤あったが、何とか再限度の高い映像に仕上がったと思う。


 その一方で明らかにWEB小説の二次創作なのではないか……という気配もしたのだが、作者はプロゲーマー自身なので作者自身のセルフオマージュに該当するので問題ない。


 最終的には動画サイトにアップロードされた動画だが、その技術力の高さを見ても、SNSで『バズ』る様子はなかった。


 原因がどこにあるのかは不明の一方で、別の動画が『バズ』っていたためにプロゲーマー自身に問題はない。



 その数時間後、ある無関係の人物が動画に関してつぶやいたことで、ようやく拡散するのだが、拡散の意図は一目瞭然だった。


 動画自体は何でもよく、つぶやきの内容は別コンテンツを『バズ』らせる為のかませ犬、つまり炎上させてオワコンに追い込もうというものである。


 この人物がつぶやきに使用したのは、皮肉にもスマホだったのが……動画を拡散した人物の失敗と言えるかもしれない。



 実際に、このつぶやきを投稿した人物は動画の内容を確認するべきだった。その証拠として動画の内容を確認せず、アフィリエイトの利益目的で拡散したことで……。


『SNS炎上勢力は全てつぶす。真の平和を取り戻すためにも!』


 WEB小説のワンシーンを完コピした動画は、思わぬ形で晒し勢力のアカウントを凍結に追い込み、アフィリエイトで稼ごうとした裏バイト業者の野望をつぶした。


 これに対して、SNS上ではWEB小説のフィクションが現実になったというつぶやきもあったのである。



 念のために断っておくが、この方法はフィクションであり、これを悪用してSNS炎上を拡大するようなことはしてはいけない。


 しかし、スマホがあれば気に入らない存在に対して攻撃できるようになったのも、時代の流れなのかもしれないが……。

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