スケルツォの日記(蛇足)

 僕は間違えていたのでしょうか。

 アリア様。貴女にこれ程までに忠義を尽くしたのに、どうしてこのような仕打ちを受けねばならないのでしょう。

 メタリカの地下の独房で、左腕を鎖で繋がれ見動きが効きません。右腕は失われ、美しきエルフの容姿もあのガキのせいで、今では老いぼれになりました。

 僕の美しさを返して欲しい。

 もう一度貴女と世界を恐怖に染め、戦争なき世界を作りたい。

 貴女の志は美しい。

 絶対に貴女を悲しませはしません。




 スケルツォは日記を記した。もはや、人間年齢で百歳を超えた彼に力は残されておらず、死ぬのも時間の問題だ。けれども彼はアリアの本当の気持ちを知っていたからこそ、この理不尽な世界を変えようとする意思が働き、今も生きているのだ。


 ある日の事、グラーベは上記の事を俺に言った。全て彼から出た言葉だそうだ。

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