第161話 1.長編執筆と体調不良の深い関係 2.芸術AI雑感
ふたつの話題を書こうと思っています。
ひとつめは、長編小説を執筆すると体調が悪化することについてです。原因は明白で、睡眠不足。
私は2023年3月24日に『人間の恋人なんていらない。』というお仕事恋愛長編小説を書き終えました。約10万文字の長さで、全43話を毎日連載。
睡眠不足と戦いながら書いていました。執筆時間を生み出すために睡眠時間を削るだけではなく、夜遅くまでパソコン画面を見ているため、自律神経が乱れ、快適に入眠できなくなるのです。そればかりでなく、朝早く目覚めて、アイデアが浮かんだりするので、早朝から執筆し、そのまま出勤することも増えます。これはつらい。
私は少なくとも1日に6時間は眠りたいのですが、長編執筆期間中の睡眠は5時間程度になります。3時間しか眠れない日もめずらしくはありません。当然、体調は悪化。長編を書き終えたときには、へろへろになっています。
『人間の恋人なんていらない。』完結後、しばらく休んでから、『東京都放浪記』という世界放浪長編小説を書き始めました。これも睡眠時間を削って執筆。幸か不幸か、最初は快調に書いていたのですが、途中から「この小説、つまらないんじゃね?」と思うようになり、約3万8千文字でストップしました。睡眠は6時間以上に回復。
『東京都放浪記』の執筆失敗後、1週間くらいなにも書きませんでしたが、『恋愛発電』という学園恋愛長編小説のアイデアを思いつきました。プロットを練り、4月下旬から本格的に執筆を始めました。だいぶ書きためたので、2023年5月23日から毎日連載を開始。完結時の文字数はおそらく10万文字程度になると思います。全50話くらいを予定しています。
私は文章を書くのは好きなのです。短編小説はアイデアさえあればサクッと仕上がるので、書いていてとても楽しい。しかし長編を書くのは苦しいです。最初は勢いで気分よく書けますが、しだいに睡眠不足やアイデア不足に苦しめられるようになり、後半は苦痛、終盤は拷問。
『恋愛発電』は完結の目途が立っています。でもかなり苦しんでいます。地獄でのたうち回りながらの執筆です。
どうしてこんなことをやっているのだろう。別になにがなんでも小説家になりたいなんて思ってないです。下手だし。
でも思いつくと書かずにはいられないんですよね。性格なのでどうしようもない。
『恋愛発電』は睡眠時間が平均3時間になろうとも書き上げてやると執念を燃やしていますが、もしまた長編を書くとしたら、そのときは睡眠マネジメントをきちんとやって、計画的に執筆したいです。こんなことをつづけていたら、病気になってしまいますから。小説を書くのは楽しいけどつらい。妙な趣味です。
ふたつめの話題は、芸術AIのこと。
とりあえず、絵画生成AIについてから書き始めます。長足の進歩を遂げていますね。
私は趣味でデジタルイラストを描いていたことがあります。でももう描く気がまったく湧きません。どれだけ練習しても、とうてい現在のAIにかなわないからです。
AIイラストはとてつもなく高品質ですが、似たような絵柄になりがちで面白味に乏しく、一流のプロや味のある人の絵の方が私は好きです。しかしながら、自分の絵に比べると、AIの方が遥かに上。やる気がなくなりました。
AIは人間が営々と描いてきた過去・現在の絵画群を学習し、高い技術を持つ人しか描き得ない絵画を軽々と生成します。著作権的になにかしらの問題があると私は思いますが、いまの流れを止めることはおそらくできない。絵画生成AIは今後もさらに加速して進歩し、並みのプロなら追い越してしまうかもしれません。
このような状況では、地道に絵を描くことを趣味にする人が減ってしまうのではないでしょうか。AIは根本的な創造性をまだ持っていませんから、すべての人間が絵を描くのをやめると、AIの進歩も止まります。長い目で見ると、絵画生成AIのすごすぎる進歩は、芸術としての絵画の息の根を止めるのです。そんな気がします。
もしかしたら、将来の画家とはAIを上手く操る人のことを指し、共存して芸術作品を創っていくのかもしれませんが……。
絵画と同じように、小説の生成もAIが行うようになっていくでしょう。
AIは小説投稿サイトを含む過去・現在のありとあらゆる文学群を学習し、近い将来、上手に小説を生成するようになるのではないでしょうか。
「甲子園に出場する野球部のエースピッチャー、同じ高校の女生徒で実は難病の野球部のマネージャー、甲子園での活躍と恋」を10万文字程度で書くように命じると、AIが少し時間でそれなりのクオリティの小説を生成するという時代がすぐそこに迫っているかもしれません。
それなりどころではなく、プロ作家並みの作品を創れるようになるかもしれません。できないとは言い切れません。
そんな時代が到来したとき、私は小説を書きつづける自信がありません。
私は冗談で『ワンルーム』というAIが新人文学賞を受賞する掌編小説を書いたことがあるのですが、近いうちに冗談ではなくなるかもしれません。
音楽AIについてはまったく知識がないので、なにも語ることができないのですが、状況は似たようなものではないかと想像しています。
芸術AIのことを否定したいわけではありません。時代の趨勢には逆らえないし、人類のパートナーとして芸術をさらなる高みへ押し上げてくれる様を見てみたいです。でも、もし多くの人間のイラストレーターや小説家、音楽家を駆逐してしまうのだとしたら、少し寂しいな、と思っているだけなのです。
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