第72話 漫画執筆と睡眠不足
私は漫画家志望だった時期があります。
絵が下手で漫画向きの話作りも下手だったのに、なんで漫画家になれるなんて思っちゃってたんでしょうね。
がんばれば漫画家になれるかもしれない、いや、なるんだ!なんて思ってがんばっていたのです。
身のほど知らずにもほどがあります……。
漫画を描くのはかなり時間がかかります。
週刊連載持ちの漫画家は常人ではありません。超人とか神人の類(たぐい)です。漫画家の修羅場は地獄そのものだと思います。
私は漫画雑誌編集部持ち込み用の32ページの漫画を仕上げるのに、半年ぐらいかかっていました。
デジタルではなく、Gペンとスクリーントーンなどを使って描いていました。
小説ならうまくやれば1日で書ける短編に半年かかるんですよ。これ、理不尽じゃないですか。
もちろん仕事しながらでなければ、そこまではかからないです。
しかし仕事しながら、出勤前や帰宅後、休日などを使って描くので、長い月日が必要だったのです。
漫画を描くだけではなく、読書や釣りなどもしたかったから、当然時間が足りません。
どうやって時間を作るのか。
睡眠時間を削るしかありません。
私は短時間睡眠でも平気な体質の人ではないので、睡眠が足りないとふらふらになります。脳の負担が半端なくて、その苦痛たるやすさまじかったです。いつも頭や胸がもやもやもやもやふらふらふらふらしていました。
プロの漫画家は2日間徹夜で仕上げたりすることがあって、それが何年もつづくのだろうから、常人では(以下略)。
とにかく、そうやって眠らないで描いた漫画を編集部に持ち込み、酷評されて落ち込んでいました。
いろいろ言われましたが、「新人漫画家はなにかしら新しい分野を切り拓いてデビューするんだ。きみの漫画に新しさはまったくないね」という助言?はよく憶えています。ハードル高いな、と思いました。
編集部への持ち込み漫画は3作描きました。
2年間ぐらい慢性的睡眠不足状態で生きていましたね。
1日3時間から6時間ぐらいの睡眠で過ごしていました。
私は7時間ぐらいは眠りたいのです。
しかし漫画を描くためにはやむを得ない苦痛なのだと受け入れて、描きつづけました。
最初は睡眠をコントロールできていたのですが、そんな生活をつづけていたため、自律神経が失調し、眠りたくても眠れなくなりました。完全に不眠症です。
今日はもうだめだ、漫画描かないで眠るぞ、と思っても3時間ぐらいで目が覚めて、眠れなくなってしまうのです。どうせ寝られないのだったら漫画描くかと思って、午前2時から机に向かったりしていました。
そして……このままつづけたら死ぬと思って、漫画家になるのを断念しました。
まあ適性がなかったから、いくら努力してもなれなかったと思いますが。
いまは睡眠時間を多少削って、小説や雑文を書いていますが、あのころに比べたら、苦痛は少ないです。
アマチュアの小説投稿サイト用の文章で、プロのように締め切りがあるわけではないので、辛ければ書かなければいいだけですし。
でも創作をやっていると、どうしても睡眠不足がちになります。
皆様はいかがですか。
私はやっぱり不眠症にならないように気をつけないといけないです。
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