第69話 推敲は終わらない。
皆様、推敲にはどの程度、力を入れていますか?
今回は私の推敲について書きますね。
まず、短編小説の場合。
私は時間さえあれば、初稿を書いたのと同程度の時間をかけて推敲したいと思っています。推敲の方が時間がかかることもあります。
時間がなくて、さくっと推敲を済ませ、投稿してしまうこともありますが、できれば何回も読み返して推敲すべきだと考えています。
その方が読みやすい小説が完成しますよね?
ちがう書き手さんもいるのかな?
次に、長編小説の推敲。
おそろしく時間がかかります。長編なんて書きたくないと思うことがあるほど。
私は「人と豚のハルマゲドン」という小説を10年以上に渡って、折に触れて推敲しつづけています。
初稿はかなり以前に完成していました。友人に読んでもらったら、面白いと言ってくれたので、文学新人賞に応募しました。落選したのですが、この小説は面白いはずだという謎の確信があったので、時間をかけて最初から最後まで推敲し、別の新人賞に投稿。また落選しました。そんなはずはないと思って、またもや推敲しました。こりもせずに新人賞に3度めの応募。そのときは最終選考に残りました。
いちおうこの小説が面白いということは証明されたと思って、筆を置くことにしました。くたくたに疲れましたよ。
さて、ノベプラをやり始めて「人と豚のハルマゲドン」を投稿しようと思い立ちました。読み返してみたら、書き直さないと公開できないことに気づき、がっかりしました。
たとえば「ジプシー」という言葉を使っていたのですが、これは差別用語です。「ロマ」に訂正しました。その他、読みにくいところや直したいところがいっぱい出てきたのです。
やりたくなかったけれど、全面的に推敲せざるを得ませんでした。アイデアをキーボードに叩きつける初稿とちがって、推敲は地味な作業です。またこの長編を書き直すのかと思って、うんざりしながらやりました。
いま読み返したら、気持ち悪い文章を見つけて、また推敲したくなるかもしれません。長編小説の推敲にはきりがないのです。
プロの作家ですら、初稿を書いて推敲し、編集者や校正者に見てもらって推敲し、雑誌掲載版から単行本にするときに推敲し、さらに文庫本にするときに推敲するのです。何度も何度も直している。
アマチュアに推敲が必要なのは当然ですよね。よい作品を残したいと思えば、かなりのエネルギーを注がなければならない。面倒ですが、やるしかない。ちくしょう、やるぞー!
村上春樹先生は推敲が好きで、楽しんでやっている、とどこかに書かれていた記憶があります。さすがですね……。
2021年の冬に私が書いた「作家志望愛詩輝の私小説」という長編小説があります。
先日第1話を読み返して頭を抱えました。「性癖はノーマル」という表現があったのです。これはひどい。「性的指向はヘテロセクシュアル」と書き直しました。1年ほど前に書いた小説でも全然だめ。とても面倒くさいんだけど、そのうち全面的に推敲しなくちゃいけないな、と考えています。かなり時間がかかるはずです。やりたくねえ。時間がないし、新作も書きたいのに。
はあ……。真面目にやると、長編小説の推敲はいつまで経っても終わらないのです。
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