第68話 創作における散歩の効用

 散歩しているときに、突然、小説のアイデアが降ってくることってありませんか?

 私はときどき近所の河原を1時間から2時間程度散歩します。目的はダイエットなのですが、思いがけず、アイデアを得られることがあります。

 ひとりで歩いていると、無心になります。言い換えれば、一種の瞑想状態になるのだと思います。そのとき、何も考えていないようでいて、実は脳は活性化しているのではないでしょうか。そして、アイデアが湧いてくる。

 ただし、ふだんから何か小説のアイデアはないかと考えておく必要はあるでしょう。

 通勤の途上や仕事の休憩時間や風呂に入っているときなどに、なんかいいアイデアはないかなと考えておくのです。でも無理に考えても、そう簡単にいいアイデアは出ません。素晴らしいひらめきに心躍ることなんて、めったにないです。

 考えることをやめて、長時間の散歩をして、もやもやが晴れたときに、ふいによいアイデアが湧いたりするものではないでしょうか。

 私は最近「バンド若草物語の軌跡」の続きをどうしようかと考えているのですが、何もアイデアが湧きませんでした。

 先日、散歩をしていたら、ふいに降ってきました。使えるかどうかはわかりませんが、即座にスマホにメモしました。やっぱり散歩はいいです。

 新井素子先生がSF作家会議で「執筆に詰まっても、歩けばなんとかなる」というような旨の発言をしていたと記憶しています。先生のような天才が言っているのだから、散歩にアイデアを生む効用があるのはまちがいないと思います。

 登山もいいですよ。私は登山が趣味なのですが、ひとりで長い距離を登ったり下りたりしていると、やはり瞑想状態になり、アイデアが降ってくることがあるのです。登山しながら、休憩のたびにメモを取り、下山したときには長編小説のプロットが完成していたことがあります。とても楽しい登山でした。ダイエットしながら、ストーリーができた。ひと粒で2度美味しい。

 もっとも私は凡人なので、傑作を書いたことはなく、その小説も書いてみたら佳作ですらなかったのですが……。

 あ、ちょっと追記しておきたいことがあります。私はいつもひとりで散歩や登山をしているわけではありません。会話しながらの散歩や登山はよいものです。楽しい。ただ、瞑想状態にはなりにくいです。

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