第30話 吉見百穴
洞窟が好きだ。
鍾乳石が天井から垂れている鍾乳洞は大好きだ。東京都の日原鍾乳洞や大岳鍾乳洞、養沢鍾乳洞は見たし、福島県のあぶくま洞、入水鍾乳洞も見物した。
鍾乳洞でなくても、自然の穴に惹かれる。青木ヶ原樹海にある富岳風穴も見た。
洞窟を見ると、そこに住んでみたくなる。僕は穴居人の遺伝子が色濃いのかもしれない。
人工の穴にも興味がある。
埼玉県吉見町には吉見百穴と呼ばれる古墳時代後期の横穴墓群がある。山に200以上の穴が開いていて、異観である。現在では6〜7世紀につくられた墓群とされているが、1887年にこの遺跡を発掘した坪井正五郎はこれを日本の先住民族コロボックルの住居であるとした。面白い説だが、大正時代には完全に否定され、集合墳墓との説が定説となった。
吉見百穴には戦争遺跡としての側面もある。太平洋戦争中、中島飛行機株式会社の地下軍需工場を建設するため、この岩山に直径3メートルほどのトンネルが碁盤の目状に掘られた。有料だが、この穴に入ることができる。途中から鉄柵で塞がれており、どこまで続いているのかはかりしれない。
吉見百穴は異様な外観をしているため、仮面ライダーなどの特撮番組のロケ地としてよく使われているそうである。洞窟好きのみならず、遺跡好きの方々にもおすすめできる観光地だ。
なお、あぶくま洞や日原鍾乳洞、富岳風穴ほどすごい穴ではない。気楽に見てほしい穴である。
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