第11話 山火事跡を見た

 とある山を登っている途中、樹の表面が焦げているのに気づいた。

 びっくりして、樹々を観察しながら登り続けた。 

 どの樹皮も焼けて黒かった。

 倒れている樹は一本もなかったが、かなりの枝が焼け落ちていた。

 山頂近くまでその焼け焦げは続いていた。

 かなり広い範囲で山火事があったようだが、幸い短い時間で鎮火したらしい。

 どうしてこんなところで山火事があったのかわからなくて、首を傾げた。

 雷だろうと推測した。 

 あるいは煙草の投げ捨てかもしれない。

 今なら、もう一つの可能性に思い当たる。

 その原因が一番ありそうだ。

 焚き火の不始末。

 焚き火が終わったら、完全に消火しなければならない。

 水を掛けただけでは不十分だ。  

 炭火は表面は消えたように見えても、内部に火種が残っていることがある。

 酸素を完全に断ち、酸化反応を止めなくてはいけない。

 私は炭をアルミホイルで包み、水を張ったバケツに沈めることにしている。

 自宅に持ち帰り、処分する。

 それでも焚き火が原因で火事にならないか心配している。

 気をつけよう。

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