第9話 焚き火ロマンティック

 焚き火をしていると、ロマンティックな気分になってくるんだ。

 アートについて考えてしまう。

 音楽と美術と文学だよ。

 どれが一番優れているのか、なんてさ。

 人の心を一番揺さぶるのはどれ?

 僕が泣いてしまうのは音楽かな。

 エロスは美術と文学が有利だよね。

 映画は三つが融合してる。

「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」と「ブレードランナー」はどちらが優れているとあなたは思う?

 どちらも知らないなら、読書と視聴をおすすめする。二つとも傑作だから。

 前者は原作小説で、後者は映画だ。

 電気羊はP・K・ディック氏の迷路のようなSF小説。

 ブレードランナーはリドリー・スコット監督の耽美的なサイバーパンク映画。

 僕には甲乙つけられない。

 映画は音楽と映像を持っているのに、文字だけの小説を必ずしも超えられていないんだ。

 面白いよね。

 美術はパウル・クレーに惹かれる。「さえずり機械」という絵画が大好きなんだ。鳥を描いているとずっと思い込んでいたけりど、よく見ると、ちがうね。異界の何かだ。

 音楽ではドビュッシーと細野晴臣さんが好き。

 僕は今アコースティックギターを持っている。細野さんの「風をあつめて」を弾き語りしよう。

 焚き火を見て、歌う。もうすぐ陽が沈む。

 夜になったら、薪をもっとくべて、ドビュッシーの「月の光」を聴いてみよう。

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