第一章・信任と懐疑(一) (セクシードレスシーン有り)



 黒ルーシのスルツク城は昔からジュパンとベルトの産地として名高い。領主であるエウフェミアはもちろん多くの高級で華麗な唯一無二の礼服を持っている。礼服はエウフェミアの高貴な身分を示せる上に、彼女の奇跡的な体も他人に見せることができる。


 違う地域の貴族はそれぞれ流行のデザインが好きだが、生まれつきの麗質を持っているのを信じるエウフェミアは、流行に従わない。彼女は自分が他の貴族を模倣する必要がない、他の貴族も自分を模倣できないと思っている。


 エウフェミアは背が高くて肩幅が広いから、普通の吸血鬼と妖精族の美人とは違うが、これは彼女が女性の魅力を見せる時の利点だ。


 エウフェミアは肩幅が広いからこそ、胸幅も広い。両側に流れる豊かな側乳、と少し垂れたが優美の乳の放物線が組んでいる美しい巨乳を持っている彼女は、よく褒められる。


 彼女は場合によって、露出度が違うセクシードレスを選ぶ。賓客の接見と重大な会議がある時、彼女は胸の谷間だけ見せるドレスを着る。しかし、今日彼女は寵愛する部下と会う予定があるので、わざわざ露出度の高いドレスを選択した。


 この女性領主は胸元から腹まで空いている上に、側面も開いている服を着ている。このような服のデザインは彼女の胸の大切なところをぎりぎり隠すが、大部の乳肉が出ている。側面からみれば、豊かな二座の山の如し。


 もちろん、エウフェミアも沢山時間をかけて鍛錬したので、重い胸の形を保っている。他の巨乳の美女がいても、彼女のように上乳と下乳の重量が均衡ではない。彼女は下着を着ないままドレスの襟をきれいに左右に分けている。エウフェミアは豊かな胸を持つだけじゃなくて、腰も引き締まっている。男も女も細い腰と広い肩幅の対比を見ると、この世にはなぜそんなに完璧な体があるかという疑問が持つかもしれない。


 「前回、ヴワディスワフは私がこんな服を着ている姿を見ると、冷静な口調をしても目に雄の本能が溢れてた。あの子を私に忠誠を尽くさせたいなら、巨乳で彼を制御したほうがいいかも。」


 エウフェミアは鏡の前に立って、自分の体を観賞している。


 「あの子は私に臣服してからもうすぐ三年を過ごす。彼も多くの功績を上げて、前の罪に別れを告げて、悪事を重ねた仲間を離れると決めたようだ。でもね、私はまた完全に彼を信用できない。反乱者は長い時間贖罪しないと、国に許されない、これは法律だから。」


 エウフェミアはギャンブルをやっているのが分かった。若いヴワディスワフは一流の戦士になる資質を持っている。彼は自分が権力を争奪する際の仲間になれるが、逆に自分を裏切る可能性もある。


 エウフェミアはテーブルに向かって、刺が付いている鞭を撫でた。


 「もし私は体であの子を完全に服従させることができないなら、鞭を使うほかにないね。これも愉快な選択肢だわ!」


 この城主は冷たい笑顔を作った。この笑顔は冷たいが、彼女の心からの愉快さを示している。


 本名はヴワディスワフのヴワデクは犯罪者を押送し終えて、スルツク城に戻る時、もう夜十時になっていた。夏の太陽は九時になってから完全に沈むが、ヴワデクはもうとても疲れて、早く宿舎に戻り、お風呂に入って寝ようと思っている。


 残念なのは、この若い妖精は彼の上司とスケジュールが違うことだ。彼の吸血鬼上司は五時間前に起きた。ヴワデクは力強く両手と腰を伸ばした。彼は上司に報告する前は、この一日の辛い仕事が終わらないことを知っている。


 また反抗軍の群れを捕えた…自分が過去の戦友たちについてよく理解しているので、帝国の他の軍人と比べれば、目が見える者と見えない者みたいな知識の差だ、とヴワディスワフは分かった。帝国の官員は認めたくないが、帝国の治安を維持したければ、裏切り者であるヴワディスワフ、反乱軍を裏切ったヴワディスワフに頼まないといけない。


 ただし、ヴワディスワフの上司は、そのままで満足できない。彼は裏切り者だったから。ヴワディスワフは彼を教育してくださった国を裏切り、悪魔を信仰する勢力に身を寄せた。彼は恥を負いながら贖罪し続けて、国に許される日が来るのを待たないとだめだ。


 

 ヴワディスワフはお風呂から上がった後、糸製のジュパンを着て緑玉のネックレスをかけて、まるで貴公子のようだ。でも、彼の顔は生真面目の感じがするので、親切ではない。


 彼はドアを叩いて、官邸の応接間に入った。


 「お帰り。ヴワディスワフ君、今回の任務で傷つかなかったの?」


 「はい、ご心配してくださってありがとうございます。私は安全に戻ってきました。」


 ヴワディスワフはハイバックチェアーに座っている美女にお世辞をした。彼女の前のテーブルには食べ物と飲み物がある。


 エウフェミアは部下と会う時、わざと彼たちにウインクしたり、誘惑の姿をとったりしない。彼女は気品が高くて穏やかに動くと、自然にセクシーな雰囲気を醸し出す。男性は彼女の美しさに伏せないことが難しい。


 「私の側の椅子に座りなさい。あなたは私の信じている部下だから、お気兼ねなく。」


 「ありがとうございます。」


 「先ずはチキンスープを飲んでね。この中にはレモンとバニラを入れたから、夏のお勧めな料理だわ!」


 「感謝します。私は急いで城に戻るために、夜には少しパンを食べただけです。」


 エウフェミアはボールをヴワディスワフのほうに押して、自らスプーンとフォークを渡した。もも肉とヌードルが入ったチキンスープが口に入ると、ヴワディスワフは食欲が湧いてくるのを感じた。後で寝るべきではなければ、彼は一つ鍋のチキンスープを飲み切りたい。


 ヴワディスワフがチキンスープを飲んだ後、微笑んでいる女城主はまた彼に一ピースのケーキを与えた。


 「チーズケーキがあるよ。今日、使用人が買ったばかりのものだ。少し食べてね。」


 ヴワディスワフはケーキを切って、口に入れた。上司がそんなに優しく部下を世話してくれるのがありがたいと彼は感じた。前の上司が片意地で自分本位だったせいで、彼は帝国軍に捕まえられることになってしまった。今、彼が臣服している相手は過去の理想的なリーダと違うが、少なくとも衣食が足りる身を寄せる場所を持っている。


 少しデザートを食べて、部下のリラックスした顔を見た後、エウフェミアは任務についての状況を聞き始めた。


 「すまない、もう大変疲れたと知ってるけど、あなたは誰が密かに真銀を輸入したと判明したか、城主として私は早く知りたいね。」


 「私たちは十九名の犯罪者を捕えました。その中で五名は反抗したせいで殺されました。他の十四名はもう監禁されました。種族は吸血鬼クォーター、妖精と人間がいます。白ルーシのポロツク、ヴィテブスク、ムスチスラウ三つの省から来ました。私が気になるのは、その中でふたりの妖精は平民ではなく、ヴィテブスクの市民ということです。」


 ヴワディスワフはちょっと止まって、エウフェミアに密輸入品のリストを渡した。


 「あと、帝国の密輸入者はもう制作が済んだ真銀の武器と金貨、反乱軍に精錬された真銀を交換しました。」


 「そうか、確かに気になる点だ。」とエウフェミアは頬を触って、腕が胸に押し付けた。「真銀の鉱石で武器を作るのは易しい技術じゃない。真銀の鍛造は鋼鉄、堅鋼、青銅、白銀、黄金など金属の鍛造より難しい。しかも、真銀は魔力を含んでる金属だから、特別な魔法で加工しないと、完全なパワーが出せない。」


 「その通りです。反乱軍が今まで持っている真銀武器のレベルは高くないです。」


 「帝国には、真銀の採掘と使用には厳しい制限がある。しかし、もし帝国の鍛冶屋が東部の反乱軍から真銀をもらい、強力な武器を作って改めて売ったら、我ら吸血鬼はいつでも不安になっちゃうわ。」


 「あと一つ、犯罪者の身分に対して不安を感じた…白ルーシの市民もいますから。」


 「今回の密輸入に参加した商人の中で市民もいるんですか?」


 「はい、彼たちのブローチで彼たちはコニチ一族の成員だと確かめました。この一族は馬と馬具の販売で有名です。貴族ではない市民階級とは言え、白ルーシ大公国で強い権力を持っています。一族の隊商が移動する時、百人以上の守衛がいる上に、国の軍隊に負けないほど武装します。」


 闇血帝国の地域には十五の大公国がある。大公国を治めるのは大公と貴族議会、上で彼たちを統治するのは吸血鬼の皇帝だ。帝都は西部の大レホヴィエ大公国に建てられた。通貨と行政制度は同じだが、大公国は自らの法律と軍隊を持っている。


 貴族と市民は帝国の上層階級で、政治と経済の権力を握っている。彼たちは権力を奪うために外敵と連合するのは珍しいことではない。しかし、大規模な真銀の密輸入事件は国の礎も蝕む犯罪だ。


 ヴワディスワフは詳細に自分の発見を報告して、懐から一枚の羊皮紙を取り出した。


 「ヴィテブスクの市長によって、彼たちは都市へ送られ、審判を受けます。」


 「彼たちは市民、ヴィテブスクは大公から司法の自治権をもらいましたので。」


 エウフェミアは両手を組んでちょっと顔をしかめた。押された巨乳がちょっと変形して腕に乗っているが、エウフェミアは気にしていないようだ。


 「私はあの都市の法律を疑いたくないけど、何だか安心できない。せっかく大きい事件を解決しても、もし反乱者たちを奴隷にして、紡績工場に送ることができなきゃ惜しいね!」


 スルツクの経済は日増しに成長しているから、多くの外来者が紡績業に務めに来ても、時々労働力が足りない状況がある。しかも、大部分の住民たちがお金が稼げる紡績業に就職したので、このあたりの田圃は荒蕪している。もし重い罪を犯した反乱軍を奴隷にして働かせるなら、この都市の収入を増やすことができる。


 上司の言葉を聞いて、ヴワディスワフはちょっと顔をしかめたけど、すぐ元に戻した。


 「彼たちが密輸入した武器は何?品質はどう?」


 「短剣、長剣、軍刀、ハンマー、ナックル、あといっぱいの真銀の矢があります。今回は防具を見つけられなかったです。」


 ヴワディスワフは密輸入者から没収した短剣を渡した。


 「この短剣を見てください…鍛造が精巧であるだけではなく、魔法のルインも付いています。技術が熟練した鍛冶屋でなければ、こんな武器を作ることはできないのです。」


 「どの地域の製品か調べられるの?」


 「まだ確認していません。もっと武器の素材を分析する必要があります。」


 「反乱軍はまた武器を集め始めた。まさか再び広範囲の攻撃を発動するつもり?」


 「そういう可能性もあります。手紙で大公に知らせてください。辺境の町にも警告した方がいいと思います。」


 「今日の会議はここまでね!明日、アルドナを呼び出して、一緒に次に何をするか話し合おうわね。」


 「はい、承知しました。後で書面により詳しいレポートを書きます。」


 ヴワディスワフはもう一度お辞儀をして、立って離れようとする。エウフェミアも立って彼をドアまで見送る。


 「今回、ヴワディスワフ君は前より良い成果を出したから、とても嬉しかったわ。」


 女城主はヴワディスワフの肩を触って褒め称えた。しかも、わざと巨乳を彼の腕に押しつけて、誘惑満点に微笑んでいる。エウフェミアの巨乳を見て、若い戦士は少し恥ずかしいと感じた。自分はこんなに美しいボディーを持っている女性に忠誠を尽くせば、裏切者になっても構わないかと彼は考えた……………

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