プロローグ・反抗者、或いは反乱者か?(後半)

 「ヴワデク、このばかやろう!氷泉妖精のくせに吸血鬼の奴隷になったか!」


 「お前の主人が付けた首輪は白銀か黄金なの?」


 「このくそ奴隷!お前の父と母はお前が小さい頃、ちんぽを切るべきだった!」


 「首領、先ず私と戦ってください!この二ヶ月間、みんなは優しかったから、私に勝てば無事に離れさせると保証する。」とヴワデクは軍刀を構えて、真面目な顔で怒りの反抗軍たちに対してゆっくり言った。


 「お前が承諾に違反するかどうかわからん…けど、お前を殺す機会を逃さない!チェスワヴ兄弟のために!」


 首領は槍と盾を持っていて、大股で歩いてヴワデクへ。

 「こい!」


 ヴワデクは軍刀を胸まで持ち上げて、刃先で首領を指した。首領は慎重に何回も突き刺して、ヴワデクの武器の攻撃範囲を確かめた。そして、矢のように突進して、ヴワデクの腹を刺したが、軍刀に受け流された。


 首領は早速しゃがんだ。槍で敵の足を払った。でも、ヴワデクは素早く跳び上がり、攻撃を避けて、軍刀で槍を切ろうとする。首領も彼の技を予想したから、槍の先端の鋼鉄で軍刀を防いだ。


 長さが六フィートの槍は首領に攻撃距離の優勢を与える。彼は念入りに円盾で自分の胸を守り、機会を狙って突き刺そうとしているから、急いで敵を倒す様子ではない。ヴワデクは何回も首領に近づこうとしても槍に阻まれた。首領が彼の左の腕を攻める時、彼は自分が退いてもう避けたと思ったが、突然激痛を感じた。首領の槍の刃先を見たら、魔法力で形成された刃は、実際の刃先から二フィートぐらい長くなっている。


 ヴワデクの腕から血が出ているのを見た反抗軍たちは、歓声を上げた。


 「私の万華鏡のような槍の技を見せてやろう!裏切者!」


 首領はまた槍を振り、刃先の魔法の刃が分裂して、両刃の斧のような形になった。ヴワデクは機敏な足さばきでそれを避けた時、刃先はまた変形して、三つのホックがあるビルになった。ヴワデクは反応できずに、左の足がホックで傷ついてしまった。


 反抗軍はまた雷みたいな大きい歓声を上げた。でも、ヴワデクはずっと冷静な顔をしている。彼の軍刀も光を放ち出した。魔法力が刃先に集まって、軍刀は一フィートぐらい伸びた。


 「おう、お前も魔法を使いたい?素晴らしい、素晴らしい!吸血鬼からどんな手品を学んだか私に見せろ!」


 首領の槍はほこやりの形に変わった。彼は横払いで斬った。もしヴワデクがしゃがんで回避すれば、彼はそのまま突き刺す――ヴワデクは予想通りしゃがんだ。


 首領は心中密かに喜んでいるが、また攻撃を変えないうちに、指がしびれて武器を失うところだった――ヴワデクの軍刀は蛇の如く舞っていて、ありえない方向から攻めて来た。


 そして、ヴワデクは防衛の姿勢から攻撃のそれに変わった。軍刀を振るというより、長い鞭を操るようだ。彼の魔法の刃は鞭のように柔らかくて、繚乱な円弧を描いた。首領は全力で彼の攻撃を受け流して、武器が切られるところだった。


 「美しいけど効かない技だ!」


 首領が叫んで、また槍を巨斧の形にして、上から下に斬る。ヴワデクは軍刀で攻撃を受けたが、首領は太い腕で軍刀を押し下げていく…


 あと十センチで、刃がヴワデクの頭に当たることになる…


 ヴワデクは突然空いている左の手を伸ばして、槍を握って力んで折った。なんと槍の柄が切れた!


 「ありえない…」首領は槍の先を見た。木材の部分が折れている上に、鋼鉄も凹んでいる。


 この隼哨兵は一体どんなにバカ力を持っているのか!


 残念だが、彼には思考の時間がない。軍刀は幾つかの円を描いて、彼に頭から足まで見ただけでぞっとする沢山の傷をつけた。


 首領は後へ倒れたけど、目はまだ閉じていない。


 「鋼鉄の部分、全体に真銀をちりばめるべきだった。刃だけでは足りない。この手袋は鋼鉄と真銀で作られたから。」


 ヴワデクはチェインメールの手袋を示し、そして、一刀で首領の頭を斬った。


 他の反抗軍はまだ戦い続けたい。彼たちは叫んで、勝利を収めたばかりのヴワデクへ駆けていく。そして…一番前の三人が倒れた。彼は直接衝撃力の強い矢で床に釘付けされてしまったから。


 「早く武器を捨てれば、お前たちの命を救える!チェスワヴたちもまだ生きている。私は彼たちを制圧しただけだ。野獣みたいに殺されることはない!」


 残った妖精と人類は罵りながら、武器を捨てた。そして、足枷と手錠を持っている帝国の兵士が森の空き地の入り口から現れてきた。


 「彼たちを全員捕まえて。でも、殴ったり、鞭で打ったりしないで。彼たちの武器と真銀鉱石を集めて。全部犯罪証拠なので、検察官に渡さないと。最も近い町へ移送して。お願い。」


 反抗軍はあらゆる汚い言葉をヴワデクに言ったが、同胞を裏切った氷泉妖精は言い返さない。ただ一心不乱に兵士に犯罪者たちを押送することを命じた。彼が何を考えているか、みんなわからない。


 「死体を集めて、彼たちの武器と一緒に葬ろう!」


 ヴワデクは死んだ反抗軍を見て嘆いた。


 「大自然は政治的な信条も種族も問わず、全ての死者を受け入れる。彼たちをこの回帰の森で眠らせて自然に回帰させよう!」

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