吠えて来るゲス野郎!
外に出た途端、ルル達が喜びながら庭へと駆けて行く!
「人のお庭だから芝を傷付けちゃダメだからなぁ〜」
「キャンッ!」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達は「はぁ〜い!」と言った感じで返事をする。
そういえば気にしてなかったけど、俺を外に出してくれるってことは、迷惑な客が帰ったって認知していいのか?
そんなことを思いながら辺りを見回していると、マナさんがこっちに向かって走って来た!
「カイリ、ルル達を遊ばせてるの?」
「うん。外で遊びたいって言ったから庭に出したんだ」
そう言ってルル達の方に顔を向けて見ると、のびのびと遊んでいるにホッコリしてしまう。
ホントにルル達は可愛いなぁ〜……あ、そうだ!
マジックボックスからスライムボールを取り出した。
「ルル。これで遊ぼうか」
「キャンッ⁉︎」
手に持っているスライムボールを見たルルは、尻尾をブンブン振りながら俺の下にやって来た!
「キャンッ⁉︎ キャンッ⁉︎」
ルルがカイリを見上げながら「早く投げて! 早くぅ〜っ‼︎」と言いたそうに吠える。
「よしわかった! そんじゃあ……取って来ぉ〜い!」
「キャンッ⁉︎」
そう言ってヒョイと投げるとルルは嬉しそうに駆け出して行き、ボールに追い付くと噛んで遊んだ後にカイリの下に戻って来てボールを差し出す。
「もう一回投げて欲しいのか?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「うん!」と言いたそうに吠えたので、ボールを受け取りもう一度構えた。
「そんじゃあいくぞルル! …取って来ぉ〜い!」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「わぁ〜い!」と言いたそうな鳴き声を上げながらボールへと向かう姿にカイリは心の中で「可愛い」と思ったのだけれども…。
「〜〜〜♪」
ファニーちゃんがルルよりも先にボールを取ってカイリの下に届けた!
「〜〜〜♪」
ファニーちゃんが嬉しそうに「はい、これ!」と言いたそうな声を出しながら、スライムボールを渡して来たので、「ちょっと気まずいなぁ〜」と思いながら受け取った。
「あのねファニーちゃん。ルルの為に投げたスライムボールだから、取っちゃダメだよ」
そう言ってルルの方目線を向けて見ると、「うわぁ〜ん⁉︎ ファニーに取られたぁ〜〜〜‼︎」と言いたそうな鳴き声を上げながらイジけていた。
「〜〜〜♪」
今度は「私だってカイリと遊びたいもん!」と言いたそうな声を上げながら不満そうな顔を向ける。
ああ〜…そうだよなぁ。ルルばっか構ってたら嫉妬するもんな。
「そうだよなぁ。ルルばっかり構っててゴメンね」
そう言ってファニーちゃんの頭を撫でてあげると、嬉しそうな顔になる。
「〜〜〜♪」
え〜っと……遊んで欲しいかぁ〜。ファニーちゃんにどんな遊びをしてあげればいいんだ?
そんなことを思っているとプル太郎がこっちにやって来た。
プルンッ⁉︎
「……え? キャッチボール? それでいいのか?」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
プル太郎とファニーちゃんは「「いいよ!」」と言いたそうな返事を返す。
「ルルはどう?」
「……キャンッ⁉︎」
ルルもちょっと不貞腐れた感じで「いいよ」と言ってくれた。
「じゃあ、ちょっと広がろうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達は「「「はぁ〜い!」」」と返事をすると、円になるように離れてくれた。
「それじゃあ……パス!」
そう言ってルルにポイッ⁉︎ とスライムボールを投げると、ルルは鼻先を器用に使ってファニーちゃんに向かって弾き返した。
う…上手い!
「〜〜〜♪」
今度はファニーちゃんが「ナイス!」と言いたそうな掛け声と共に、スライムボールをキャッチしてからプル太郎ポイッと投げた。
プルンッ⁉︎
プル太郎はファニーちゃんから投げられたスライムボールを身体を使い、俺に向かって弾いて来た!
「うおおっ⁉︎プル太郎スゴイぞ!」
カイリはプル太郎が弾き返したスライムボールとキャチすると、今度はファニーちゃんに投げた。
「〜〜〜♪」
ファニーちゃんは「見てて!」と言いたそうな声を出すと、スライムボールを脚を使って自身の真上に上げてからキャッチした!
「おお〜⁉︎ ファニーちゃんも上手!」
「〜〜〜♪」
ファニーちゃんは「ルル、パス!」と言いながら山なりにスライムボールを投げた。
「キャンッ⁉︎」
ルルは「任せて!」と言いたそうな鳴き声を上げると、山なりに飛んで来るスライムボールを頭を使って受け止め、そのままポーン…ポーン…とヘディングをして維持する。
「ルルもスゴイことやってる!」
「キャンッ⁉︎」
そして「はい、プル太郎!」と言いたそうな鳴き声を上げながら、ヘディングでスライムボールを投げた!
プルンッ⁉︎
プル太郎は「わかった!」と言いたそうな返事をした後、触手を伸ばしてキャッチしてからスライムボールを触手の上を転がして遊ぶ。
「お…おう」
プロバスケット選手のようなことが出来るなんて……プル太郎凄すぎる!
プル太郎の凄技に感心していると、何やら門の方から騒がしい声が聴こえて来た。
何だ? 喧嘩でもしているのか?
カイリはそんなことを思いながら門の方に顔を向けると、驚いた表情に変わる!
「ゲッ⁉︎ ブンゼ!」
そう鉄格子に手を掛けて憎々しいと言いたそうな顔で、カイリを睨んでいたのだ。
「何でアイツがいるんだよ⁉︎」
「私にもサッパリわかりません。しかし、ホント懲りない人ですねぇ……」
「そうだよねぇ〜。今度問題を起こしたら……って、サシャさん⁉︎」
いつの間に俺の側に来てたんだぁっ?
「すみませんカイリ様。ブンゼ様を一度追い返したのですが、戻って来たみたいです」
「はぁ……そうなんだ」
そうサシャさんに言ったら、門がガシャンッ⁉︎ ガシャンッ⁉︎ とうるさく音を立てる!
「おい小娘っ! 今日こそそのフェンリルと妖精を寄越すんだっ‼︎」
「家族だから誰にも渡さないって言ってるだろ!」
ブンゼにそう言ったら、ブチギレたのか先ほどよりも激しく門を揺らして来た!
「うるさいっ! 寄越せと言ったら寄越すんだ‼︎ ここにある金をさっさと受け取れ!」
ブンゼはそう言って懐から金が入っていると思わしき袋を取り出して高く掲げた! その行動を見ていたカイリは首を横に振ってから答える。
「お前なんかにルル達を売らない!」
そう言ってルル達を抱きしめるとブンゼの眉間のシワが深くなり
、歯軋りを立てる!
「キサマァ〜……小娘の分際で生意気なああああああああああああ……」
拒否しただけであんなに怒らなくても……ん? 待てよ。
「つーかさぁ。何でお前はそこまで必死になってるんだ? 普通断られたら諦めるだろ?」
「ッ⁉︎ う…うるさい⁉︎ 理由などどうでもいいだろう!」
「理由? 今理由って言わなかった? どうしてもルル達を手に入れなきゃいけない理由があるんじゃないのか?」
「うっ⁉︎」
カイリの言葉に痛いところを突かれたかのような顔をさせる。
「もしかして……ルル様達を手に入れれば融資をしてくれるか、もしくは負債を帳消しにして貰えるなどと言う話があったとかでは?」
「融資? 負債?」
そう言えばブンゼが出している店の経営がピンチだって言ってたな。
カイリがそう思っている中、ブンゼの方は顔から汗を出して動揺していて、鉄格子から手を離して後ずさっている。
「きょ…今日のところは引き下がってやる! でもワシは諦めんからな! 絶対そのフェンリルと妖精を手に入れてやる‼︎」
ブンゼはそう言い放つとズガズガと早歩きで去って行ってしまった。
「アイツがまた来ると思うと嫌な気分になるなぁ……」
「そうですね。…でもご安心下さいカイリ様。商会ギルドでブンゼの除名処分の手続きが進んでいるみたいなので、近々ブンゼは商会ギルドに呼ばれることになります。なので、もう少しの辛抱ですよ」
「……そう?」
でも嫌な予感がするんだよなぁ……。
カイリはそう思いながら抱き締めているルル達を見つめた。
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