第80話 ハロウィン落語

「悪魔的な焚火をやろうと思う」

「怖いな。具体的にはどんな焚火なんだよ」

「おまえの家を焚火にする」

「ただの放火じゃねえか。やめろよ」

「だめか」

「だめに決まってるだろ」

「じゃあ知らない人の家を焚火にする」

「おまえは悪魔か」

「悪魔的なかぼちゃだ」

「かぼちゃなのかよ」

「頭がかぼちゃ」

「納得したよ」

「悪魔的な魔女かもしれない」

「って、おまえ男だろ」

「男の魔女なんだ」

「魔男って言葉はねえもんな。わかった、男の魔女でいいよ。でもとにかく悪魔的な焚火はやめろ」

「じゃあ悪魔的なパーティをやる」

「どんなパーティだよ」

「食材はタバスコと七味唐辛子とラー油と胡椒とわさびだけ。飲み物は醤油と酢とみりんだけ。水飲むのも禁止」

「死ぬよ。だれがそんなパーティに参加するんだ」

「おれとおまえ」

「かぼちゃ頭にはつきあえん。そのパーティは辞退する」

「いたずらしちゃうぞ」

「一応聞こう。どんないたずらだ」

「おまえに変装して悪魔的な焚火を人に見られるように行う」

「やめとけ。変装も焚火も見られるのもやめろ」

「おまえに変装してキャンディを配る」

「やってもいいけど、おまえに何かメリットあるの」

「ない。やっぱりやめる。おまえに変装して悪魔的なかぼちゃを行う」

「もう意味がわからん。おまえの口には包帯を巻いておくべきだな」

「かぼちゃに変装してハロウィンを楽しむ」

「オッケー、それでいこう。それならおれもつきあえる」

「かぼちゃに変装して悪魔的なハロウィンを楽しむ」

「ちょっと待て。悪魔的なハロウィンってなんだ」

「トリックオアトリートメント」

「はいはい、勝手にやってろ」

「トリートメント!」

「うわああ、やめろおおおお!」

「トリートメント!」

「ひいいいいい。水道、水道おおおおお」

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