第60話 嘉永6年戦艦大和

 ときに西暦1853年、江戸湾にぽんぽんぽんと蒸気機関を響かせて黒船が来航したが、徳川幕府はそんなものへっちゃらだった。征夷大将軍徳川家定は余裕綽々としていた。

「大和に迎撃させよ!」と命令した。

 戦艦大和が横須賀基地から出撃し、46センチ三連装砲を黒船に向けた。

「オーマイガー!」アメリカ合衆国のペリー提督は巨大戦艦を見て仰天した。

 黒船はぽんぽんぽんと逃げ出したが、大和の主砲の斉射を受けてドッカーンと爆発し、あえなく沈没した。

 乗組員は一人残らず駆逐艦島風に救助された。

「老中阿部正弘、第一艦隊を率いてアメリカへ行け」と将軍は命じた。

 老中は戦艦大和に乗り、勝海舟が武蔵に乗り、太平洋を航海した。

 後には空母赤城・加賀、重巡洋艦最上・鈴谷・熊野、軽巡洋艦北上・大井・球磨・多摩・木曾、駆逐艦多数、潜水艦伊401が続き、堂々たる単縦陣を描いた。

 第一艦隊はアメリカ西海岸沖を遊弋し、合衆国に圧をかけた。ときどき艦砲射撃した。

「ジーザス!」とフランクリン大統領は叫んだ。

「長州藩主毛利敬親、第二艦隊を率い、イギリスへ行け」と将軍は命じた。

 長州藩主は戦艦長門に乗り、高杉晋作が陸奥に乗り、インド洋を経由して、イギリスに向かった。

 後には空母蒼龍・飛龍、重巡洋艦古鷹・加古、軽巡洋艦天龍・龍田、駆逐艦多数、潜水艦伊19が団子になって続いた。

 第二艦隊は懸命に単縦陣をつくってテムズ川をさかのぼり、イギリスを圧迫した。たまに艦砲射撃した。

「オーマイゴッデス!」とアレクサンドリナ女王は叫んだ。

「薩摩藩主島津斉彬、第三艦隊を率い、フランスへ行け!」将軍はさらに命令した。

 薩摩藩主は戦艦伊勢に乗り、西郷隆盛が日向に乗り、北回りでフランスに向かったが、北極海の氷に阻まれた。

 後に続く空母翔鶴・瑞鶴、重巡洋艦青葉・衣笠、軽巡洋艦長良・五十鈴・名取・由良・鬼怒・阿武隈、駆逐艦多数、潜水艦伊168も立ち往生した。

「我が事終わる!」と薩摩藩主は叫んだが、西郷隆盛が進言して、遅まきなからインド洋を経由してフランスへ向かった。

 第三艦隊はセーヌ川の河口でフランスに睨みをきかせた。やたらと艦砲射撃しまくった。

「モンデュー!」とナポレオン三世は叫んだ。

「新選組局長近藤勇、第四艦隊を率い、ロシアへ行け!」と将軍は次の手を打った。

 近藤勇が戦艦金剛に乗り、土方歳三が比叡に乗り、空母大鳳、重巡洋艦妙高・那智・足柄・羽黒、軽巡洋艦川内・神通・那珂、駆逐艦多数、潜水艦伊58が二列縦陣で続いた。

 第四艦隊はワープして黒海に出現し、ロシア領に向けていきなり艦砲射撃した。

「ゴースパジ!」ニコライ一世は叫んだ。

「聞け、世界の人よ」と将軍は演説した。

「我が日本国は領土的野心を持たぬ。鎖国し、ただ独立を守り抜く以外に欲なし。我が国は時空連続体に乱れあり。常に未来軍が祖国を守れり。日本を侵略する者、未来軍により滅ぶべし!」

 そして日本国は帝国主義に関せず、独立を守り抜いた。

  

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