第12話 VS GONOKUNI ROUND2


さて、こちらは李空の戦場。


キャスタのサイアイテムによる石壁により、行動を共にしていた平吉と分かれてしまった李空は、妹と歳の近いアーチヤと闘う羽目になっていた。


「お兄ちゃんもおんなじの選んだんだね」


そう言ってアーチヤが背中から取り出したのは、『弓』の才具だった。


「・・・みたいだな」


李空の背中にも、アーチヤのと同じ『弓』の才具がある。

が、李空はそれを構えることが出来ずにいた。


それは、李空の体が硬いとかいう話ではなく、アーチヤの見た目がそうさせていた。


「どうしたのお兄ちゃん?こないならアーチヤからいくよ!」


アーチヤが『弓』を構える。


「だめだ。余計なことは考えるな。相手は国の代表。立派な敵だろ」


自分自身に言い聞かせるように呟き、李空は気合を入れるように自分の頬を叩いた。


「えい!」


その間にアーチヤが矢を放つ。


が、武器の扱いに慣れていないのか。その矢は李空の位置とはかけ離れた、明後日の方向へと飛んでいく。


「あれれ?」


矢が飛んだ先を見つめて、首を捻るアーチヤ。

その可愛らしい仕草に、入れ直したはずの気合が緩んでしまう。


次の瞬間。


「・・・・・は?」


大きく外れたはずの矢は、李空の土手っ腹に命中。

身につけた防具にヒビが入った。


「やったー!当たった!」


嬉しそうにはしゃぐアーチヤ。


「・・・そういうことか」


その姿を眺め、李空が悔しげに呟いた。


李空が『オートネゴシエーション』で読み取ったアーチヤの才の情報は、「移動」であった。


李空は、戦闘の際にまず相手の才を読み、その情報を知識と照らし合わせ、幾通りかのパターンを想定。

それを対戦の中で精査していき、最終的に特定している。


今回であれば、も視野に入れて立ち回るはずなのだが、アーチヤの見ためにより冷静さを欠いていた。


アーチヤの才は『コーディネート』という名であり、相手の座標を移動させる能力である。

明後日の方向に飛んでいった矢の先に李空の座標をセットし、命中させたのだ。


「厄介な能力だな」

「いいでしょ!アーチヤが動かなくても、みんなが動いてくれるんだ!」

「見た目と違ってエグいこと考えるな」

「なんのことかな?アーチヤわかんない」


小さな唇を可愛げにに尖らせ、口笛を吹くアーチヤ。


天使のような白髪幼女は、どうやら内に悪魔を飼っているらしかった。




滝壺・太一 陣営


「えんばあああああ!!」


こちらには、滝を前に絶叫する屈強な男の姿があった。


「貴様!何をした!」


その男。ライは、滝壺をキッと睨んで吠えた。


「見ての通りだ。に落ちたんだよ」


滝壺は合掌した状態で、目を片方だけ開けて答えた。


先ほど『ファイターボール』をモロに喰らった炎馬は、怒る騎手に合わせて、滝壺と太一に突進を開始した。

が、その先にはその行動を見越していた滝壺の罠があったのだ。


落とし穴に見事ハマった炎馬は、身動きが取れなくなる前に騎手であるライを振り落とした。

そこに滝壺の才『ウォーターフォール』の滝が降り注ぎ、炎馬は深い滝壺の底へと消えたのだった。


「最初みたく空を駆ければよかったのにな。まあ、上空が圧倒的に有利にも関わらず地上で闘っていたことを鑑みるに、相当燃費が悪いようだがな。傷を負った状態では無理があったか」


滝壺は、表のサイストルグルではそこそこ名の知れた実力者である。

こと状況判断能力に関しては、平吉に負けず劣らずのものを持ち合わせているのだった。


炎馬の反応が消えたことを確認し、『ウォーターフォール』を解除。

降り注いでいた滝は消えた。


「・・・許さん。許さんぞおおお!!!」


愛馬を失ったライの『鉄球』が、怒りを表すように炎に包まれる。

ライの才『炎馬』であるが、あくまで馬の形にも具現化できるといった能力であり、炎の馬に威力は及ばないものの、炎をある程度自在に操れるのだ。


鎖を持ち、炎の鉄球をブンブンと振り回すライ。

いざ、襲いかかろうとしたところで、ライはあることに気づいた。


「お前。才具はどうし・・グハ!」


だが、一瞬遅かった。


先ほどまで滝が降り注いでいた穴から、今度は逆にのだ。

さらに、それと一緒に噴出されたのは滝壺の才具である『鉄球』だった。


勢いよく飛び出たそれに抱きつくような形となり、ライは水の勢いそのままに、天高く打ち上げられた。


「これはある後輩との手合わせの経験から生み出した新技だ。そうだな、『滝昇』とでも名付けようか」


合掌の指先を下にしたポーズで、滝壺が言う。


打ち上がった滝壺の『鉄球』は、ライの腹部をしっかりと捉え。


ライの身を守る防具は、上空で粉々に散った。




こちらは平吉の戦場。


李空と二分され、キャスタと対峙することになった平吉。

しかし、この闘いはそう長引きそうになかった。


「つかまえたで」

「くっ」


キャスタのサイアイテムによる予測不能の攻撃をなんとか掻い潜り、平吉がキャスタの肩に触れたのだ。


「さて、記憶を見せてもらおうか」

「いや、その必要はない」


目を瞑ろうとした平吉を、キャスタの声が遮った。


「ん?どういう意味や?」

「ここは一旦退くという意味だ」


そう言うや否や、周りを囲んでいた石壁が消えた。

突然戦場が広がり驚く李空の隙を突き、キャスタはアーチヤを回収した。


「お前の才は時間の経過。もしくは場所が離れるとリセットされる。そうだな?」

「ほう。よう勉強しとるやんけ」

「これでも国の代表の参謀役だからな。戦において情報は命だ」


自分とよく似た考えに、平吉は少しだけ嬉しさを滲ませて笑った。


「なるほどな。それで尻尾を巻いて逃げるいうわけか?」

「挑発には乗らんぞ。戦略的撤退だ。それに目的は果たせたしな」


キャスタの視線が李空に移る。


「・・真の目的は李空の調査ってわけか」

「ご名答。二つの頭を一人でこなすとは。お前も苦労人だな」

「ふっ。褒め言葉として受け取っとくわ」

「それでいい。アーチヤ、いくぞ」

「えー。もうちょっとお兄ちゃんと遊びたかったな」


可愛らしく頬を膨らませるアーチヤを抱えるキャスタの前に、試合前にも見たゲートが出現。

二人はそのままどこかに消えてしまった。


「あれは『サイワープ』の一種やな。あれほど自在に操るには、圧倒的な空間認識能力と集中力が必要なはずやが、さすがの経験量といったところか」


間違いない強敵が去った方を眺め、平吉が呟く。


「李空に妹がおることを知って、アーチヤ相手の出方を伺った。効果は覿面やったが、アーチヤ一人ではトドメを刺すまではいかんと判断したか。おそらく『サイノメ』のようなサイアイテムで、李空側の戦況も観察しとったな」


流石は壱ノ国代表の頭。予想は的中していた。

キャスタはコンタクトレンズ型の『サイノメ』により、空間を認識していたのだ。


「最も効果的な場面で、もう一度アーチヤを李空にぶつける腹積もりやろな」

「・・・すみません、平吉さん。俺、何もできませんでした」


その横で、李空が申し訳なさそうに言う。

結局李空は、アーチヤに向けて矢を放つことが出来なかったのだ。


「まあ、しゃあないとこもあるわな。幸いにも今回はチーム戦や。苦手はカバーし合っていこうや」

「・・はい」


李空は小さく頷いた。

それなりの覚悟をもってここに来たはずだが、それとは裏腹に体は言うことを聞いてくれなかった。


こんなことではダメだ、心の中で李空は自分を叱咤する。


「次会ったら心を鬼にする」と誓い、李空は拳を強く握った。




火水の乱。戦場。


「やりましたね。滝壺さん」

「ああ」


太一の言葉に滝壺が頷く。


滝壺の『鉄球』によって防具を破壊されたライは、地上に打ち付けられるのと同時に、消えた。

といっても消滅したわけではなく、自国の倉庫に自動転送されたのだ。


才具には様々な効果が付与されており、その一つにこの強制転送がある。

防具が破壊されると同時に、それを纏う人物を転送するのだ。


これすなわち試合からの脱落を意味し、復活することは不可能である。

ちなみに、試合開始時点で倉庫には細工が施されており、生存中の選手が近づくことは出来ない。


また、防具は自力で外すことが難しく、外すには破壊するしかない。

つまり、脱落者に生存者が防具を譲渡するような行為は、実質不可能というわけだ。


「兄者が・・あの兄者がやられただと・・・」


兄であるライが消える瞬間を目の当たりにし、氷馬に乗ったランが取り乱す。


ランという男の素は、内気な青年であった。

それが兄のライという「威」を借りて、鎧として纏ったのが、「白の国を駆ける異色の暴れ馬」ことライ・ラン兄弟のランであった。


しかし、目標として追いかけてきた兄の背中は、もうない。

道導を失った人間は、脆いものだ。


「やるなら今、みたいだな」

「ですね」


数でも勝る滝壺と太一にとって、今のランを屠るのは容易に思えた。


が、チャンスとピンチというのは、表裏一体。

油断は隙を生み。その表と裏は簡単に翻るものだ。


「・・・・・なっ」

「滝壺さん!」


なんの前触れもなく、滝壺の防具にヒビが入った。

異変に気付いた太一だが、あまりに突然の出来事に『ファイアウォール』を出すのが遅れた。


慌てて発動した炎壁が迫り上がるよりも一瞬早く、その「弾」は滝壺の防具に命中。

二発目となるその衝撃をもって、防具は粉々に砕けた。


「太一。気をつけ・・」


防具を失ったことで、滝壺の体は倉庫に強制転送。


火水の乱より、ライ、滝壺楓の二人が脱落。

『WAR』の生存選手は、両国共に六名となった。




火水の乱戦場より数キロ離れた建物の屋上にて、細く白い煙が昇る。

その煙の源。黒装束を纏う人物がポツリと呟く。


「二発で致命傷か・・・悪くねえ」


その男。伍ノ国代表のシンは、咥えるタバコを一度離すと、薄く笑った。


滝壺の防具を破壊したのは、何を隠そうシンであった。


彼の才『ターゲット』は、対象者を視界に留め続ける能力である。

どれだけ距離が離れようが、まるで目前にいるように認識することが出来るのだ。


そんな才を持つシンが選んだ才具は、勿論『狙撃銃』である。


シンの才『ターゲット』は、対象の才を視認することで発動するため、本来は一度敵に近づく必要があるのだが、今回シンは滝壺に接触していない。

それは、『狙撃銃』に取り付けられたスコープで「火水の乱」を観戦していたからである。


才の性質上、日頃の試合から武器を扱うシンだが、その中でも『狙撃銃』は相棒と呼べるほどの使用頻度であった。


「コイツが7つの中に紛れてるとは、全くラッキーだった。鬼に金棒とはこのことだな」


滝壺を撃破し、一仕事を終えたシンは、スコープを覗き込み、次の獲物を探す。


「おっと。俺の他にもう一人、がいたな」


スコープ越しにある男の姿を捉え、シンはニヤリと笑った。




さて、7つの才具の内『剣』と『斧』を選択した壱ノ国選手。

京夜とみちるの二人も、伍ノ国のある選手と鉢合わせしていた。


「やれやれ。やっと遭遇できたわい。少しは楽しませてくれるんじゃろうのう?」


指をポリポリと鳴らしながら、試すような口調でそう問いかけるは、伍ノ国代表将バッカーサである。


「いきなりラスボス戦というわけか」

「京夜との初共闘楽しみえ〜る!」

「相手にとって不足なしあ〜る!」


京夜とみちるの二人は、強敵を相手とする適度な緊張感をもって、それぞれ才具を取り出した。


みちるは両腕から伸びる、従えた二匹の影犬で『斧』を。

京夜は片手で『剣』を持ち、もう片方の手に「盾」を構えた。


その「盾」は才具ではなく、京夜が『ブラックボックス』で作り上げたものである。


京夜の才『ブラックボックス』は、凶悪強力な能力であるが出現させる座標の設定が非常に繊細であるため、慣れない地形となると発動が難しくなる。

今回のように仲間が近くにいるケースだとなおさらだ。


その点、自分の手となれば絶対位置として記憶できるため、毎度同じ座標で発動することが出来るのだ。


これぞ京夜の新技「黒の盾」。名付けて『ブラックシールド』である。


「なにやら陰鬱な組み合わせじゃのう。まあ強者であるなら何者でも良いがの!」


バッカーサは、同じ人とは思えぬ跳躍力を見せつけ、京夜とみちるに向けて大きな『斧』を振り下ろした。

二人は揃って後ろに跳びのき、それを回避。元居た地面が衝撃で割れる。


「ふむ。良き反応じゃ」

「バケモノだな・・・」


バッカーサの動きに合わせて生み出された強風から身を守るようにして、京夜が呟く。

みちるにしても、一瞬の隙も見せまいと構え直す。


さて、バッカーサの才『生涯現役』であるが、10年毎に地力を倍にする能力である。


10歳の力を「1」とするならば、現在の力はなんと、そのである。

それはあくまで数字の上の話であり、鍛えられた肉体や経験値がそこにプラスアルファされるため、実際の力はそれ以上と思われる。


純粋な身体能力でいえば、強者が集う『TEENAGE STRUGGLE』においても、右に出る者はいないだろう。


「簡単にくたばってくれるなよ!」


目にも留まらぬスピードで、バッカーサが二人に迫る。


サイストラグルの世界においては珍しい、世代を超えた闘いが今始まった。




火水の乱。戦跡。


(今ならやれるか・・・)


自身の才『氷馬』によって生み出された氷の馬の背上にて、ランが己の武器を見つめる。


シンの援護射撃により滝壺が脱落。相手に数の利はなくなった。

さらに残った相手が使う能力は「炎」。こちらの「氷」で凍てつかせることが出来ることは実証済みである。


根は臆病なランであるが、ライ・ラン兄弟として積み上げてきた戦績は伊達ではない。

それに標的である太一は、追加の射撃を危惧してか、炎壁の中に籠っている。


満を持して立ち向かわんと、ランが一歩踏み出したその時。


「あの壁。太一さんじゃないですか?」

「お、そうみたいやな」


タイミング悪く、壱ノ国の援軍がやってきた。

しかも二人。李空と平吉である。


「軒坂さん!気をつけてください!」


滝壺が撃たれた方向の炎壁だけを残して、太一が逆方向からやってきた平吉らに声を掛ける。


「氷馬!撤退だ!」

「ヒヒイイイン!」


分が悪くなったと判断し、ランがその場を後にする。


「なるほど滝壺はやられたか。太一は炎壁で安全を確保しつつアイツを追え。李空もや」


すぐさま状況を把握した平吉が、李空と太一に的確な指示を飛ばす。


「わかりました!行くぞ李空!」

「うっす」


それに従い、炎壁を移動させながら、李空と太一は追跡を開始した。


「ワイも一仕事するかいな」


そんな言葉を残して、平吉は姿を眩ました。




「・・・くそ。行き止まりか」


ランは眼前の建物を見上げて呟いた。


他の伍ノ国のメンバーと合流すべく、なるだけ大きな道を選んで奔走していたランであったが、運悪くそこには大きな建物が。

立ち塞がるように建つそれに、ランを乗せた氷馬は行く手を阻まれた。


道は広いため、馬の図体をもっても振り返ることは容易で。

氷馬を追ってきた二つの影とランの視線が交差する。


「ようやく追いついたぞ!さっきまでの威厳はどこにいったんだ!こら!」

「この人は本当に元気だな・・」

「なんか言ったか!李空こら!」

「いえ、何も」


その二人。太一と李空は、敵を前にして言い争いを始めた。


「お前ら。この俺を舐めているのか・・兄者の仇。ここで果たそうぞ!」


その態度に、まるで兄であるライの炎が移ったように、ランの闘志がメラメラと燃え上がる。


「そうこないとな!滝壺さんの仇!討たせてもらうぞ!」

「それはおそらくシンの仕業だが・・まあ、いいだろう!受けて立つ!」


太一の『槍』が炎を纏い『炎槍』に。

ランの『槍』には氷が宿り『氷槍』に。


ランを乗せた氷馬と太一が互いを目標に走り、振り下ろされるランの『氷槍』を、太一の『炎槍』が受け止めた。


「なぜだ!なぜ、我が氷で凍てつかぬ!」


『炎槍』を頭上で真横に構え、ランの『氷槍』を受け切った太一は、そのまま弾き返した。


「知らねえのか!油は炎を盛んにするんだぜ!」


「火に油を注ぐ」などといった言葉があるが、太一の「炎」の威力を底上げするのは「怒り」である。

滝壺を目前で失った太一の「怒り」は、その炎を一際大きくさせたのだった。


ちなみに、零ノ国に入国する際、太一を穴に落とすように平吉が李空に命じたのは、太一の怒りゲージを溜めるためでもあった。

無論、面白そうという理由が一番であったのは間違いないだろうが。


「くそ!やはり援軍が必要か」


もう一人、相手国の選手がすぐ側に控えている状況で、太一の炎との相性も怪しくなった今、このまま一人で闘っても勝算は低い。

自身の才の性質と同じ、熱いながらもどこか冷めている冷静な部分が、ランに援軍を求めることを提案する。


「どこまでもつかは分からんが。氷馬よ。力を振り絞ってくれ」

「ヒヒイイイイン!」


氷馬は主人の期待に応えるように力強く鳴き、次いで空を駆けた。


「あの馬飛べるのか」

「感心してる場合じゃねえぞ李空!」

「といってもどうするんすか?」


出るタイミングを失い、ここまで観戦を続けていた李空が尋ねる。


「李空。お前と組んでやるのは初めてだったな」

「はあ。そうですね」

「組むということは、闘うのとはってことだな」

「・・・なるほど。そういうことっすか」


李空が含みのある笑みを溢す。


思えば、李空が『オートネゴシエーション』に目覚めたのは、ここにいる太一との決闘が引き金であった。


それが今となっては互いに国の代表となり、共闘している。

なんとも数奇な縁であった。


「いくぞおおおおお!」


吠える太一は『炎槍』を構えたまま走り、そのまま

槍投げの要領で放たれた『炎槍』は、空を駆ける『氷馬』目掛けて飛ぶ。


「『オートネゴシエーション』発動」


次いで李空から発せられたのは、であった。


槍を纏う炎がより一層猛々しく燃え盛り、まるで炎の龍が如く、空を駆ける馬に迫った。


その『炎龍』はまるで意思が介在しているかのように。

より効果的な一撃。騎手に狙いを定め。


ランの防具を貫いた。


「ヒヒイイイイイイイン!!!」


主を守れなかったことを悔いるような。馬の鳴き声が街に響く。


「我が氷を解かせるのは兄者だけのはずが・・」


己の敗北を悟ったランは、最後に地上の太一を忌々しげに睨み。


その場から消えた。

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