第22話 マラソン大会

ゆきの採血の結果を確認した。



家へ帰って説明をする

「貧血は改善されているから大丈夫そうだよ。でも無理しないように」

「は〜い」

「走るの?」

「うん。美樹ちゃんは欠席だから、出来れば走って欲しいって、師長が言ってるし」

「そっか」


福利厚生の一環で参加するというマラソンイベントが、もうすぐある


「美樹ちゃんなんて、私の分も楽しんできて!って言ってたけど、その日デートなんだって。いいなぁ」


美樹の治療も無事に終わったらしい


「じゃ、頑張って走ったら、うちらも今度デートしよっか」

「ぇ…」

「ん?」

動きが止まってる


「驚き過ぎて言葉が出なかった」

「え…そんなに?」

「うん。嬉しい」



ゆきは翌日から、『体力作りのため』と言って、自転車で病院へ通うようになった


※※※



「ただいま〜」

「あっ、おかえり!楽しかった?」

「うん。でも疲れた〜」

「おつかれ、後でマッサージしてあげるよ」


その日は当直明けだったので、夕飯を作って帰りを待っていた


「いいなぁ、休みだったら一緒に走ったのに」

ご飯を食べながら愚痴る

今日のメニューは豚肉の生姜焼きだ

疲労回復に良さそうだし

何より、私が食べたいからだ


「そんなに走りたいもの?何がそんなに魅力なの?」

「ん〜何って言われても…気持ちよくなかった?」

「みんなとワイワイするのは楽しいけど、走るのは苦しいだけだった」

「そっか。何キロだっけ?」

「2キロちょっと、かな」

「あ〜短い距離は苦しいかもね」

と言うと不思議な顔をして

「・・・2キロは短距離かぁ?」

と呟いた


「長い距離の方がゆっくり走るから楽なんだよ」

「そうなの?しょうちゃんは何キロ走りたいの?」

「100キロ。なかなか練習出来ないから難しいんだけどねぇ」

「・・・」

これは呆れられたか?


「春にね、大会があるんだけど。ちょうど桜の咲く頃で、富士山と桜と湖が綺麗なんだよねぇ」

スマホで検索して見せた

「こんなところ、走ってみたくない?」

「ほんとだ、凄い。じゃ、私はしょうちゃんの応援で見にいくね」

笑顔で返された


※※※


食事を終えて、お風呂に入った後で

約束通り、マッサージをしてくれるという


「どこか痛い?」

「痛くはないけど、足全体だるい」


「わかった。ちょっと触るよ」


しょうちゃんが

足を触ろうとした時、スマホが震えた

着信?


「ごめん、ちょっと待ってて」


スマホの表示を見て、眉間に皺を寄せ

そのまま部屋を出て行った


微かに聞こえる声は、少し怒っているような困っているような感じだ


「お待たせ〜」と戻ってきた表情は普通だったけど


「大丈夫?」

「ん?」

「病院からの電話じゃないの?」

「あ〜違うよ」

「そっか」


「ふくらはぎ、パンパンじゃん!ちょっとうつ伏せになって」

「うん」

「あ〜ハムも張ってる」

「ハム?」

「ハムストリングね。ここを使ったんなら、良いフォームなんじゃない?」

そう言って

ゆっくりと太ももの裏を揉んでくれる

「やった!褒められた」

「うん、頑張ったね」

そのまま、ふくらはぎと足裏もマッサージされた

足裏はツボを押されて

「いっった〜い」

涙が出る程痛かった

「ごめん」と言いながら笑ってるし

「うぅ」


「よし、終了。後で痛くないマッサージしてあげる」と

頭を撫でられ

「落ち着いたら、来て!」

とリビングへと消えた


「ちょっと飲も」

リビングへ行くと、しょうちゃんはワインを準備していた


「え、どうしたの?」

「明日、ホワイトデーでしょ」

「あぁ、そっか」


冷蔵庫からケーキも出てきた


「これは?」

「ザッハトルテ」

「美味しそう」

「チョコには甘いワインが合うって書いてあったから」

私には、よくわからないけど…と言いながら注いでくれる

「ありがとう」



「ほんとだ。ワイン合うね!」

しょうちゃんも、少しだけ飲んでいた


「しょうちゃん、聞いてもいい?」

「なに?」

「さっきの電話のこと」

「あぁ、、うん。母親から」

「お母さん?」

「毎年、うちの病院で人間ドックやってるんだけど、それが来週で。その後に家に泊まりたいって言うから、断ってた」

「え、なんで?」

「え?」

「泊まってもらわないの?」

「その日、当直だし」

「私がいるじゃん。私の事、言ってあるんだよね?あ、私に会いたくないとか?だったら…」

「…言ってあるし、ゆきにも会いたがってる」


「しょうちゃん…私も会いたいよ。しょうちゃんのお母さんに」


その後、しばらくは無言で飲んだ

しょうちゃんはウーロン茶だったけど、何か考えているようだった


「わかった。泊まってもらうね」

「うん」



※※※


電気を消すと同時に、しょうちゃんの手が太ももを撫でる

「ん?」

「マッサージの続き」

「さっきと手つきが違うけど?」

「そう?気のせいじゃない?」


手は臀部から背中へと徐々に上がってくる


肩甲骨周りは凝っていたようで、ほぐされると気持ちいい


「ここも、ほぐさないとね」と

胸を揉まれる


「あっ…ん」

ゆっくり、痛くないように優しい手つきだ


目を閉じていたから

不意打ちだった

唇を奪われ、舌が入ってくる


「うぅ…」


「口腔内もマッサージね」

今日は、そういう感じでいくのね


少しずつ脱がされ脱がし


肌を合わせる


「ん…しょうちゃん。気持ちいい」

「うん、マッサージだからね」


「しょうちゃんにも、してあげる」

「あ…ん…」


「気持ちいい?」

「うん…いぃ」


いつのまにか

お互いの秘所を弄り合う


今日は一緒に…




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