第15話 近くにいるのに

「ただいま〜」


『おかえりなさ〜い』

「あ、しょうちゃん早かったね」


「え?…なんで、唯ちゃんがいるの?」

『ハンバーグ作ってま〜す』


「それは、見ればわかる」


「まぁまぁ、しょうちゃん、先にシャワー浴びてきて」

ゆきに促され、浴室へ行く



「それで?」

食卓で、3人でハンバーグを食べながら聞く


『前に、また告白しますって言いましたよね?』

「あぁ、うん」

『告りに来たら、いつも、しょうこさんいないんだもん』

「ん?いつもって、何回も来てるの?」

それで、ゆきと仲良くなってたのか

『はい。最近はご飯目当てだったりしますけど、ふふ』

唯ちゃんも胃袋掴まれたか


「最近は手伝ってくれるから、嬉しいよ」

と、ゆきは笑顔で答えてる

ほんとにこの人は・・・

誰とでも仲良くなれるコツでもあるんだろうか


『また来ますね……あ、しょうこさん好きです』

「…ごめんなさい」

『は〜い』

「今、絶対忘れてたよね?思い出したように言ったよね?」

あはは。

唯ちゃんは、笑いながら帰って行った




「しょうちゃん、コーヒー飲む?」

「うん」


「怒ってない、よね?」

ミルクたっぷりのコーヒーを渡しながら

聞いてくる


「ゆきがいいなら、問題ないけど」

「唯ちゃん、可愛いよ?」

「うん、そう言うと思ったよ」


ニコリと笑って、ゆきは立ち上がる

と、立った瞬間ふらついた


「大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「ちょっと座って」

「え、ちょっと、しょうちゃん?」


一通り診察をする


「前も、こういうことあった?」

「えっと、何回か…」

「・・・」

「ごめんなさい」


「貧血かもしれないから、明日、採血して。オーダーしとくから」

「え、でも」

「しなかったら、オペ室まで私が採りにいくけど?」

「朝イチで採血室に行きます」

「ん」




ベッドで寝てたら、ゆきが潜り込んできた

「ねぇ、怒ってる?」不安そうだ


「気付けなくて、ごめん」

と言って、抱きしめる


「そんな・・・大したことじゃないから。」

「うん、それでも…」

気付きたかった

こんなに近くにいるんだから



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