第3話 メリークリスマス
今年のクリスマスイブは、木曜日。
オペ室は、基本的には夜勤はない
緊急オペに備え、オンコール(自宅待機)はあるが、交代制だ
平日も、オペが長引かなければ、だいたい定時に帰れる
病棟勤務との、大きな違いだ
なのに
「え?祥子センセイ、今年のクリスマスイブも当直なの?」
「うん。夜、差し入れでもしようかと思って。美樹ちゃんもどう?」
「どうって。私に予定がない前提で話してる?」
「はっ!そうだよね予定あるよね、ごめんね」
「いや、ないけど。でも、お邪魔でしょ?」
「そんなことないよ、しょうちゃんも喜ぶと思うし」
「ん〜、じゃ行こうかな」
消灯を過ぎて、落ち着く時間帯を狙って
まずは病棟へ顔を出す
「おつかれさまでーす」
「差し入れでーす。夜勤の皆さんでどーぞ」
「わぁ、ありがとう」
「落ち着いてますか?」
「うん、今のところね。センセイ、医局だと思うよ〜」
「ありがとう」
「もう、バレバレだね〜」
「そうだね、あんなことあったしね。師長なんて最初から知ってたらしいよ」
「そうなの?センセイ、隠す気ないんじゃないの?」
「うん。そういうの、何にも考えてないと思う」
と、話しながら医局へ向かう
「当直、おつかれさまでーす」
「あ、ほんとに来てくれたんだ。ありがと。あ、美樹も⁉︎」
「そんな、ついでみたいに言うなら、ケーキあげませんよ〜」
「ウソウソ、待ってたよ美樹ちゃん」
「ケーキを!でしょ?」
ゆきちゃんは笑いながら
持ってきた料理を広げる
「さ、食べよ。落ち着いてる間に」
「わぁ、凄いね。ゆきちゃん、全部作ったの?」
「うん、料理は好きだから」
「クリスマスなのに、和食中心だけど」
「しょうちゃんの好きなもの作ったら、こうなっちゃった」
「あ、そ。ごちそうさま」
「食べたいって言うと、すぐ作ってくれるんだよ」
「あ〜はいはい」
「美樹は、誰かに作ったりしないの?」
「誰かいたら、今、私ここにいないから」
「ふぅん」
「そういえば、新居探しはどうなってんの?」
無理矢理、話題を変えてやる
「なかなか進まないね」
「休みも合わないしね」
「まぁ、急いでないし、年明けてからゆっくり探そ」
「うん」
「そーだ、ゆき!日曜日オンコールじゃないよね?」
「うん、休みだよ」
「私も休みになったからさ」
「あ、じゃ行く?」
「うん。。あ、美樹も行く?競馬場」
「はい?」
何この会話?
「行こうよ」
「遠慮しときます。バカップルに付き合ってらんない」
「どうする?ゆき、褒められたよ」
「褒めてなーい」
ゆきちゃん、ケラケラ笑ってるし
「美樹ちゃん、競馬嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
「美樹、詳しいよね?」
「そこそこ」
「この前のG1凄かったよねぇ」
「あぁ、三冠馬が3頭出走したやつね」
「あ、しょうちゃんが正座して見てたやつ?」
だから、どんな会話?
「あ!」
センセイのピッチが鳴る
「あ、はい。。わかりました」
「呼ばれました?」
「うん、ゆっくりしてって。帰り、気をつけて!」
「は〜い」
「そろそろ帰ろうか」
「うん、明日も仕事だしね」
「今日は付き合ってくれてありがと」
「こちらこそ」
「楽しかった〜」
「ほんとに?2人だけのが良かったんじゃないの?」
「ほんとに!美樹ちゃんとしょうちゃんの掛け合い、面白いもん」
「なら、良かった」
祥子さんとゆきちゃんの掛け合いも
バカップルだけど、ちょっと羨ましいよ
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