スピンオフ話その2-2 フリージアは規格外らしい
「あれ、お客様ですか?ユーキ様」
「お帰りフリージア。これは客なんかじゃなくてただの浮游生物だよ。それより獲物はとれたのかい?」
「浮游生物……確かにちょっと浮いてますね。あ、大物がとれましたよ!ユーキ様が造ってくれた〈お魚捕獲するぞ君〉のおかげでこぉーんなに大きなお魚ゲットです!今夜はお鍋にしましょうね!」
「おー、でかいのがとれたね。よくやったぞ、フリージ『それ、沼の主ぃ!古代種ぅ!伝説の怪魚ぉぉぉ!!』うるさいよ『ぎゃん!』まったく……」
せっかく大物を捕ってきたフリージアを誉めているのに変なツッコミを入れてくる(自称)神様。思わず常備していた〈右頬を張り倒す君〉が発動してしまったじゃないか。……吹っ飛ばなかったなー、まだまだ改良の余地ありだね。
「ちょっと大きいだけの魚に大袈裟な。これだから情緒不安定な(自称)神様は……」
『どこがちょっとなんですか?!宇◯戦艦ヤ◯トくらいあるでしょうがぁ!!』
なんで君が宇宙◯艦◯マトなんて知ってるんだよ。
「そこまで大きくないだろう……せいぜいノーチ◯ス号くらいさ」
『どのみちでかすぎですよぉっ!!っていうかこの怪魚は食べちゃダメです!この世界の均衡が崩れちゃうじゃないですかぁっ!!』
うーむ?ダメなのか……。一応(自称)神様がそう言うならそうなのだろう。
そんなボクと(自称)神様の会話を聞いていたフリージアがしょんぼりしてしまう。
「よくわからないですけど、これ食べられない魚だったんですね……」
「どうやらそのようだ。しょうがない、この魚は湖にかえそうか」
「はーい、ユーキ様。せーのっ!」
そう言ったフリージアが怪魚が捕らわれている〈お魚捕獲するぞ君〉(巨大な網)をぶんっ!と湖に向かって投げた。
ひゅ~~とぷん。ばっちゃばっちゃ。と遠くから音が聞こえたのでどうやら無事に湖に戻っていったのだろう。生きててよかったね。
しかし宇◯戦艦◯マトとノーチ◯ス号って、どっちが大きいんだろうね?
フリージアが自動回収された網を収納して〈お魚捕獲するぞ君〉を片付けていると(自称)神様がいまさらながらにすっとんきょうな声をあげる。
『……なんなんですか、その娘さん。いくらユーキさんが作った道具があったからって伝説の怪魚を捕まえてくるなんて……そしてさらにぶん投げるなんて規格外過ぎません?』
「ボクの助手だよ」
規格外……なのかなぁ?確かに最初は水掃除するだけで手があかぎれだらけになってたけど、ボクと一緒にいるうちに慣れてきたのかなんでもサクサクとこなすようになったんだよね。手際もいいし。
ん?なんだか疑いの目で(自称)神様がボクを見てくるけど、ボクは何にもしてないよ。せいぜい元気が出る特製栄養ドリンクを飲ませたりとかなんとなく体が強くなるサプリメントを作ってあげたくらいしか……『絶対それぇ!!』おい、ボクの心の声を勝手に聞くんじゃない。
するとフリージアはペコリと頭を下げた。
「はじめまして、浮游生物さん。わたしはフリージアと申します」
うん、ちゃんと挨拶できて偉いね。今のフリージアは昔とは比べ物にならないくらいだよ。まだたまにボクのことをスリッパですぱぁん!ってするけどね。
『……ワタシぃ!神様なんですけどぉ!』
そうは言うけど本来神様って、そんながっくりと膝をついてorzな姿で泣いて訴えないと思うよ。どう見てもちょっと浮いてるだけの白いコスプレしてる変人さ。
それから何を思ったのか(自称)神様はキッとフリージアを睨み(涙目で)……『こうなったら、この娘さんを利用させて頂きます!』と叫んだのだ。
「えっ」
一瞬(自称)神様の体が光ったと思ったらその姿が消えて、次の瞬間フリージアの体が白く光り出す。
「え?なんですかこれ?!」
「フリージア……!髪が……」
なんとフリージアの髪が白銀のような色に変わり、瞳の色もルビーのような透き通った紅色へと変貌したのだ。
フリージアは元々生まれ故郷の国特有の変わった髪色と瞳の色だった。知ってる人間が見ればすぐわかるそうなので、母国を追放されているフリージアにとってはあまり好ましく思っていなかったそうだ。だからセレーネお嬢の元を去ってからは帽子で隠していたんだが……。
『……ふふん!この娘さんの体を乗っ取ってやりましたよ!思った通りユーキさんの影響を受けてい……た…………あ、えっ、ちょっ!意識がおさえ…………!ーーーー』
「フリージア!」
フリージアの口から(自称)神様の声が聞こえたと思ったら、なにかひとりで騒ぎだし気絶してしまったのだった。
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