第4話 「私はあの日の事を覚えている」

 静かな住宅街に私たち足音が響いた。


「そこの黒い車が止まっている白い建物が俺の家」


「あそこか」


 あなたは覚えていないかもしれないが、私があなたと話すのは今日が初めてじゃない。


五、六年くらい前のことだっけ、入学式よりもはるか前のことだ。私は病気で入院していた。


 今、目の前にいる三越君の父親が私の主治医(?)だった。


それで……


ーー「ついたよ」


じゃあ続きはまた今度ということで。


 そこにあったのは白いコンクリートでできた広い一軒家だ。大きな窓がたくさん付いていて、光が窓のガラスに反射していてとても綺麗だ。


 私たちは門に入った。玄関ドアまで結構距離がある。この家のような豪邸はテレビでしか見たことがない


 お庭に池がある。池の周りを石で囲ってある。2匹の赤い鯉が仲良く泳いでる。水の音が響いている



「三越君の家広いね」


「そんなことないよ」


「これで広くないわけじゃん」というツッコミは胸にそっとしまった。


「こんな広い家にお姉ちゃんと二人暮らししてるんだね」


「え、なんで二人だって知っ…」


「葵ちゃんから聞いた!」


 ちなみに葵ちゃんは三越君の幼なじみである。


「なるほどね」


「そうだ、お父さんすごい人なんでしょ?」


「いやいや、そんなことないよ」



 そんなことあるよ。すごいんだよ。だって、あなたのお父さんは私の命の恩人だもん。

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