第2話 「運命との邂逅」

 俺は姉が見えなくなるまで手を振り見送った。


 なぜ高島さんの顔が頭に浮かんできたのだろうか。答えは一つしかない。

 俺は高島さんを好きだからだ。

 いや、好きだったと言った方がいいか。

 高島さんは覚えていないかもしれないが俺と彼女には特別な思い出がある。



 俺はスマホを手に取った。開くアプリはLINEではなく、もちろんゲームだ。陽キャでも陰キャでもない中キャの俺にメッセージなどくるわけがない。



「いや、中キャならくるか?」



 きたとしても親友の大丸か家族からだ。


 俺は1人でボソボソ呟きながら昨日残った味噌汁と姉貴が炊いてくれたご飯を食べながらゲームを開いた。



「お、なんか新しいコラボきてる!」



 なんと好きなアニメとコラボしていた。これはどちらのファンである俺にとっては激アツである。



「3000円くらい課金するか」



 俺はご飯を食べた後、コンビニへプリペイドカードを買いにまた外に出た。


 僕は門を出て少し歩いた。



「……えっ?」



 なんと高島さんがパンパンに詰め込まれたショッピングバックを持ちながら家の近くを彷徨っていたのだ。


 高島さんの私服姿を見るのは初めてだ。白のカットソーに花柄の入った黒のスカート。似合っているという言葉だけでは伝わらないくらい似合っている。


 さらさらの長い黒髪。今にもシャンプーの香りが漂ってきそうだ。


 高島さんもこっちに気がついたみたいだ。彼女は髪を耳にあきあげ、俺の顔を見つめた。


「えっーと、同じクラスの三越君だよね?」


「そ、そうだよ…高島さん、俺の名前知ってたんだ」


 ゲームの課金なんてもうどうでもいいや。


「そりゃあね、同じクラスだもん」


 彼女は、にっこりしながらそう言った。


 涼しい風の吹く音が聞こえた。その後しばらく沈黙が続いた。

 しばらく女子と喋ってないせいか何を話せばいいかわからない。



「高島さんこんなとこで何してるの?」



 そう聞くと、彼女は少し恥ずかしげな表情をした。

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