第2話
芦屋 律紬 (あしや りつ)
ムダに顔がいいから、どの年齢でも、女にだけは困らなかった。でも、俺が恋をしたのは、男だった。
初恋は幼稚園の先生。黒縁メガネをかけて、誰にでも分け隔てなく優しくて、ピアノも上手くて、でも手先は不器用。そんな先生が、好きだった。
それを親に伝えたら、
『まぁ…………。』
『……そうか、優しい先生だもんな。』
と、苦笑いされた。
子どもながらに、どうしてそんな変な顔するの?と疑問を持った。
違和感を感じた。
年長になると、あの子が可愛い。俺あの子が好き。と、何ともマセたことを周りが言っていた。そんな中俺は、ずっと男の先生が好きだった。
誰にも、言えなかった。
小学校に上がってからも好きになるのは男だった。でもそれは、表には出してはいけないと、幼稚園で知ったから、女の子が好きだと豪語した。
その方が、友だちも出来るし、気持ち悪がられたりもしないから。
生きやすいけど、行きにくい人生。
それが俺、芦屋 律紬の人生。
「ねぇ〜、りつってば〜。こっち向いてよ〜」
「ん〜?何〜?」
チュッ
「?!」
「ふふっ、すきあり〜」
「こいつ〜」
あー……、キモチワリィな。
俺が好きなのは、アイツなのに……。
_________________
小林 紬 (こばやし つむぎ)
初めて好きになったのは、というより、ずっとあたしは、初恋を引きずっている。
あたしはずっと、柳田 苺樺が、好きなんだ。
いっちゃんは、サバサバしてて、背もおっきくて、しゅっとしててかっこいい。女の子。
あたしと正反対で、そこらの男なんかより綺麗で、素敵な女の子。
いっちゃんだから、恋に落ちた。
「いっちゃん〜すき〜」
「いちかもむぎちゃんすきよ〜」
なんて、幼稚園の頃にやってたから、、勝手に両思いだと思ってた。少しませたガキだったから、あたし達付き合ってる。とおもってた。でも、周りのみんなは、男の子に同じことを言っていた。
小学校に上がっても、私たちは変わらなかった。お互い、『好き』と言い合っていた。でも……
『女の子同士で好きなんて、へーん。いちかちゃんもむぎちゃんもへんだよー。』
へん、なの?あたし達、変なの?
いっちゃんは気にしてなかった。何変わらなかった。
でも、中学に上がると、2人とも、ベタベタとは、しなくなった。
いっちゃんが部活に入ったから。
今までみたいに、放課後遊べなくなったから。
だから、あたしは、
「むぎちゃん、今日空いてる?あそぼーよー。」
「あー、うんー、いいよー。」
男あそびを始めた。
END
四つの嘘と、四つの本音。 @sora_yurinonke
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