四つの嘘と、四つの本音。
@sora_yurinonke
第1話
僕らはみんな、嘘をついている。
それぞれの嘘は、隠さないといけなくて、
世間サマには、認められなくて、
バレてしまえば、今までの関係も、人生も、終わってしまうほどの嘘。
だから、
僕らはみんな、嘘をついて生きていく。
「おはよー紬。」
「おはよぉ、いっちゃん。」
私、柳田 苺樺(やなぎだ いちか)は、友人の小林 紬(こばやし つむぎ)に挨拶をして、自分の席に着く。
今日から2年生かー……。あと2年、この不毛な恋と、不毛な関係は続くのか。そう思うと、憂鬱。
「はぁ……。」
思わずため息をついてしまう。友人の次の一言は、
「「幸せが逃げるよー。」」
「なぁーんでかぶせるのぉー。」
「あんたの思考なんてすぐ読めんのよ。幼なじみ舐めんな。」
「ぶー。」
口を尖らせて、拗ねた振りをする紬。視線は常にスマホ。常に鳴っているスマホ。
「……飽きないね、あんたも。」
「んー……、まぁねー……。」
私の話も、話半分。いつもの事だから気にならないけど、私以外に友だちおるんかコイツ。心配になる。
まあ、この子は気にてないだろうけど。周りにアホほど男いるし。ほんと、どうやったらそんなに男を囲えるのか。不思議でならない。
まぁ、可愛いからなあ、紬は。
キーンコーンコーンコーン
「紬、授業始まるよ。」
「はーい。」
そう言ってあたしはスマホをしまった。
さっきのいっちゃん、ずるいなあ。
私の思考が読めるかあ、ときめくなあ。
開いていたのは、ツッター。今日も推しが尊い。ってずっと呟いていた。誰も見ていない、私の裏垢。
あたしは、柳田苺樺が、好きだ。
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放課後、今日も男と会う予定がある。らしい。完全に忘れていた。お迎えに来るらしい。
「いちー。」
「あ、そーたろ。じゃあね紬。」
「ばいばーい。」
私の愛しのいっちゃん連れていったのは、いっちゃんの彼氏の桜川 颯太郎(さくらがわ そうたろう)。
いいなあ。そこ代われよ、さくらがわクン。いっちゃん、こっち向いてよ。
ガラガラガラ
「おまたへ。」
「おー。」
あー、今日も可愛かったなあ、小林紬。いつまで俺は、想ってんだろうなあ。だせぇ。
「また紬のこと考えてる。」
「あ、わりぃ。」
「別にいいけど。」
いちは、俺が、小林のことを好きなことを知っている。俺も、いちの秘密の恋心を知っている。お互い不毛な恋をしている。2人とも、叶わない恋なのに。叶わないってわかっているのに。それでも諦めきれなくて、お互いそばにいる。
ただそれだけ。
「まぁ紬は可愛いからね。」
「まぁな。ところで今日どうする?」
「そうねー……。」
いちも、俺も、この関係は、卒業するまでかな。
「お、いたいた。おーい、そーたろー。」
どーん。と、背中に重みと人の温かさを感じた。誰だかはすぐにわかる。声と、いちの反応を見れば。
「んぁ?律紬。なしたー。」
幼なじみの、芦屋 律紬(あしや りつ)。いちの、想い人。でもこいつは……
「りつくんまだぁー?」
「ちょっとまってて。」
常に周りに女がいる。いつも違う女。派手な女。んで、だいたい俺かいちを睨んでくる。まるで、私の律紬なのに、何こいつら。とでも言うかのように。俺らは被害者だっつーの。
「後で宿題おせーてー。」
「また夜になー。」
「あんがと!じゃあね〜。」
やっと降りていった。いつも後ろから抱きついてくる律紬。俺は女じゃねーぞー。
頭いいくせに。俺になんか、聞く必要ないだろうに。毎日同じことを言ってくる。なんでだろうな。
「ね〜え〜、りつくんってば〜。」
「あーはいはい。まってねー。」
っあーー。心臓がうるさい。毎日やってるけど、毎日会ってるし、顔みてるし、よく知っているのに、未だに慣れない。恋心を自覚してから、1年経ったのに。
「今日ここ行きたーい。」
「おっけー。じゃあ案内して?」
「いいよぉ。」
あー、香水くせぇ。
颯太郎からは絶対にしない匂い。女の匂い。派手な女の。颯太郎には、絶対にいらない匂い。
あーあ。不毛な恋だなあ。
END
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