第16話 新聞部でした
二台のバスで隣町の牧場に向かい、バス内での嫌がらせを受けつつも着いた。
思ったよりも嫌がらせや嫌味の声が少ないのは、どうやら俺が新聞部に入っており、そのために組まされたと言うことになっていたからか。
「貴方が新聞部に入った噂は流しといたわ、これが最善だと思ってね。ごめんなさいね」
真咲は髪をバサっとして、照れ臭そうに去っていった。
奴らと同じ部だと知られたのは嫌だが、正直それを広める以外に方法も無かっただろう。ここでも真咲のファインプレーだ。
「んん~空気が美味しいね~。一つ違う町でこんなに変わるんだね~、自然に囲まれてるのが良いのかな?」
バスで俺の横に座っていたサオが、牧場に着くなり深呼吸をして体を伸ばしている。
「これから班行動だけどよろしくね」
「はわわ、なんだか怒ってるみたいですけど……うう、よろしくですぅ」
二人もやって来た。
「ああ揃ってるわね! はい、これ」
いきなりやって来た俺のクラスの担任が、真咲にカメラを渡した。
「どうしてこれを? 写真が撮りたいならスマホで撮りますよ?」
「うんうん、現代人はスマホだよ! センセも若いんだからさ~」
「でもでも、うう、牛さんを、撮るのもいいかも、です……」
三人が詰め寄っている。別にカメラ渡されただけでそんなに詰め寄らんでも。
「何言ってるの? あなた達新聞部じゃない、新聞作るのに必要でしょ?」
「「「「あ……」」」」
そう言えばそうだったわ。
どうにも俺たちの中で新聞部(厨二病の集まり)って印象で、新聞部(ガチ)ってのは頭に無かったわ。
「わぁ、可愛いです……」
おまかわ。
牛を見て香が良い笑顔だ。可愛いが、若干キャラ作っているように感じるのは俺の性格の悪さ故にか。
「サオフラッシュ! サオフラッシュ!」
サオはそんな様子を撮っている。
微妙に香のスカートの中を映るように撮っているような気が。
「ふう、新聞部は失敗よね。文芸部にしとくべきだったのよ。でもそれだと一般学生も入ってくる可能性が……でもなあ……」
ぶつぶつ真咲が文句を言っている。
聞くところ、白戸が一年の時に先輩の光の勢力と共に設立したらしい。それまでは写真部は有れど新聞部は無かったようだ。
「ふえええ、どうして、そんなことを……」
「良いでは無いか~良いでは無いか~」
サオが香のスカートを捲り、パンツを下ろしてお尻と牛の顔を並べて撮っていた。
何してんねん。
「サオ! ――これも使いなさい」
止めるんじゃねーのかよ。
真咲が渡したのはコスプレ用のお尻に入れる牛の尻尾だ。
入れる部分大きくない? スーパーボールくらいあるぞ。
「そ、そんなのいきなり入れたら、裂けるよ~、うう……」
「我が儘だなぁ……しょうがないなぁ、そこの君ちょっと来て~」
「え? 俺ですか?」
少し離れたところでこちらをチラチラ見ていたボッチの男が、屈みながら歩いてきた。あいつ勃起してやがる。
てか班員はどうした?
ハブられたか。
「これ舐めて~」
サオは入れる部分を彼の口に持っていく。
「え、ええ!? お、俺がですか?」
「勃起させてないでさ~さっさとやってよ~。カオリン風邪ひいちゃうよ?」
イジメんなや。
「貴方はこっちを舐めてあげなさい」
「え? 俺が香の尻舐めんの!?」
マジか……。舐められるのはいいが、舐めたくは無いわな。
「ひゃあ! ううう♡き、きてるよぉ……♡」
声出すなや。
くう、背徳感が……。
「――ぷは、これでいいですか?」
「おけーおけー。よく出来ました」
サオが持った尻尾を屈みながら咥えていた彼は、顔を赤めている。
あいつ絶対童貞だわ(経験人数4人の余裕)。
可哀想だから咥えてあげたら?(王者の余裕)
「じゃあ君が入れてあげて~。はい、これ」
「は、は、はい!!!」
ピーンと背筋を伸ばし、彼は香の後ろに立つ。お尻を突き出して牛に支えてもらっている香の顔は……うん、こいつ変態だわ。
(見てみなさい、彼勃起してるわ)
(――女の子がそう言うこと言うなよ)
(いいのよ、で……どうする? 貴方も勃起してるしヌいてあげようかしら)
(俺を? それとも彼を?)
(どっちがいい?)
(どっちでもいいよ。あとでサオにヌいてもら――痛っ)
真咲に抓られた。
「はっわわっわわわ♡」
「――ふう」
尻尾を入れられ、香は声を上げた。彼もやり切った、男の顔をしている。
「ふむふーむ、イってるね~」
サオが彼の股間部分をパンパン叩き、確認している。
思うんだが、これって本当にイジメじゃない? 大丈夫かな、彼が先生にチクったらアウトな気がするが。
「よーし、撮れたよ~」
お尻を丸出しで、尻尾を着けた香。そのお尻をフリフリしながら牛を撫でる姿が写真に収められる。
「ついでにこのヘヴン状態の彼も撮りなさい」
「おけーおけー」
真咲に命令され、サオは成し遂げた顔の彼を撮った。
「これを脅しに使いましょう」
「よーし来た!」
こいつら最低だわ。
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