第12話 妄想設定

「魔法や超能力、呪力ってのは全部異能って言っていいんだな?」


 俺は全力で妄想話をすることにした。これに乗ってくるかどうか、付いてこれるかどうかでこいつらの厨二レベルとスタンスが窺えるだろう。


「そうだね~異能者って括りで良いと思うよ」


「それが何かしら?」


「基本的に系統で分かれている訳だろ? その中でトップクラスの魔女が何々の魔女と名乗っているって認識で良いんだな?」


 こいつら曰く、紫藤会長は時空の魔女らしいし。


「魔法に限らずすべてが同一の系統で分かれているわね。例えば時空系なら魔法も超能力も呪力も過程が違うだけで結果は同じようになる訳だしね」


「紫藤会長が時空系最強って認識で良いのか?」


「そこは微妙なラインね、あくまで魔法使いたちの中で一番って話だから超能力や呪力で上の者が居るかも知れないわ」


 俺と比較的話すせいかサオと真咲だけが返事をしてくれる。

 ここまでの話からして、こいつらは厨二レベルは高いが自分の設定を貫き通す意思は弱いみたいだな。俺の設定に同意するだけだし。


「ちなみに皆は何系なんだ?」

 俺は問うてみた。


「私は超能力者で強化付与系ね。詳しいことは今度二人っきりの時に見せてあげるわ」


「サオは魔法少女で万能だよ~、ていうか魔法少女は皆万能なんだけどね~」

 これはアレか、その分専門には負ける的な話か。


「俺も超能力者で肉体強化系だ。まあ、今度見せてやるよ」

 結構です。


「僕は呪術師です。系統は秘密でお願いしますね。くっくっく」

 白戸マジムカつくわ~。


「ふえ、ええと……わ、私は超能力者で、えーと感応系? 的な奴です……」


「貴方は?」


「俺は……企業秘密だ」


「はあ!? 犯すわよ!」

 立場逆なんだよなぁ。こいつマジで痴女やん。


 そもそも普通の人間だし、俺は。







 その日の夜、月夜の住宅地の屋根の上で、二人の人間が向かい合っている。


「うふふふふ、また悪趣味な物を創ったものね」


 紫藤ユカリは学園の制服を着ており、三階建てのアパートの屋上に立っている。

 一軒隣の家の屋上には三メートル越えの緑色の巨大な人間が居た。


 緑の巨人は全裸で筋肉隆々、股間には人の腕ほどのブツをぶら下げている。


『ぐぎゃぎゃぎゃ!』


「いいわ、ここで消してあげるわ」


 紫藤は手を握り、拳を相手に突き出す。


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