第7話 奥さん僕とお風呂に入りませんか?

「ここがサオのお家だよ~」

 

 金井サオに案内された彼女の家は、四階建ての大きな家だった。

 俺の家が三つは入るな。


「じゃあ行こ!!」

 金井は俺の腕を引っ張り、大きい門を通り家に向かう。

 庭広いな、おい。


 あまり急かさないでほしいものだ、パンツの中が大変な事になっているんだから。



「ママ~ただま~!!!」


「――サオ? おかり~」


 俺の部屋の半分くらいの広さの玄関でサオは大きい声を出す。

 その声に反応し、やって来たのはとんでもない美人だ。


 金髪碧眼の美人なお姉さん。白いシャツの上に着たエプロンは大きい胸で山を作り、ぱっつんぱっつんのジーンズがむっちりした脚をよりエロくしている。

 俺より大きい身長に熟れた表情は、三発目を発射させた。


「サオ、彼は? も、もしかして彼氏かしら!?」

 美人なお姉さんは顔を赤めて、あらあらと頬に手をやり揺れている。


「ママ! そうだよ」

「そうなの!?」


 そうか、俺はこいつの彼氏だったのか。

 人生の勝ち組来たあああああああ!!!!


「まあじょーだんだけどね~」

 ぐはっ。


 こ、この女……俺の純情を弄びやがって。

 てか、ママ!? え? ママ? え? ママ?


「お、お義母様でしたか……」

「なんか邪魔な一文字付かなかった?」

 なぜ解ったし。


「まあ! まあ! 嬉しいわ!! サオったら全然お友達を連れてこないんですもの!! イジメられてるのかと心配していたのよ。ほら私がイギリス人だしハーフってイジメられやすいって聞いてたし、この子こんな見た目でしょ?」


「ママ! もう、恥ずかしいよ!! たっくん! 部屋行こ!!」

「わ、待てって! 靴がまだ、とと――お、お邪魔します!!」


 腕を引っ張る金井のせいでよろけながらも、何とか靴を脱ぎお義母様に挨拶をする。


「あ、あとで紅茶とお菓子持っていくわね~」





「もうママったら~、ごめんねたっくん」

 

 彼女の部屋に着き、中に入った俺はハート形のテーブルの横のハート形の座布団に座らされた。ファンシーな部屋だな、こいつ本当に高校生か?


「まあいいじゃないか、いいお母さんだろ? 羨ましいぜ」

「そ、そう? それなら良いの」


 照れたのか、プイっと横を向いてしまう。

 俺の家のリビング並みに広い部屋には、ベッドや机に本棚などが有る。デザインや色などを抜かせば普通の部屋だ。


「ママの手作りお菓子は美味しいよ~、うしし」

「笑い方キモイな」

「ひ、ひっどーい!」(射精野郎が)


 ん? なんかボソッと何か言ったような。

 気のせいかな?


「ねえたっくん、いや――たぁくん? お願いがあります」


 急に声が低くなり、表情も目を細めて大人な顔になる。

 地声が出てますけど大丈夫ですか?


「お、お願い? な、何かな……出来ることならやってあげたいけど」

 彼女の豹変ぶりと口調の変化に、俺まで畏まった口調になってしまう。


「わたしにはねぇ、叶えたいことが有るのです。たぁくんにも協力してほしいの、ダメですかぁ?」

 話し方は丁寧なんだが、何故かねっとりしている。


「ね、願いを聞かないことには、返事は難しいかな? ははは」

「ふふふ、キモイですねぇ、そのわ・ら・い・か・た♡」


 耳元で囁かれる。

 ぞぞぞと背筋に走るのは、悪寒か、それとも……。


「闇の勢力にも光の勢力にとっても許容できないことなのですぅ、だからまさきちゃんにもかおりちゃんにも頼めないのですぅ」

「あ、あのどこ触ってるんですか……」

「ふふふ、ぐちゅぐちゅいってるですね? 協力すれば、これ以上もですよ」


 彼女は俺の股間をサスサスし、つんつんと突っついてくる。


 闇云々言うということは、厨二モードか。

 これ以上主導権を握らせるわけにはいかん。


「――ふう、下手に出ていれば調子に乗ってるようだな? 魔法少女よ」

 俺も厨二モードで立ち向かう。


「あら、もうモブ演技は終わりですか? ざーんねんですねぇ」

 金井はすぐ離れ、正面に座る。


「で、協力するの? しないの? もっと言うと貴方はどっちに就くのですか?」

「馬鹿だな魔法少女よ」

「はあ? なんのことですかぁ」


 ロリ顔は小馬鹿にしたような表情になる。


「俺は誰にも従わん、どの勢力にも属さん、どこにも就かん。俺が歩く道は一人で歩く、誰の指図も受けん」


「何よそれ、です。そんな自分勝手が許される、ですかぁ?」

 若干、キャラが崩れてきたな。所詮ただの厨二よな。


「俺が歩く道を遮ったり、横切るなら――滅ぼす。が、横や後ろを歩くなら止めはしない。俺が誰かに従うのではない、俺に誰が従うかだ」


「ふん、なら良いわ――こうするだけです」

「――そんな玩具で何ができる?」

「くっ、バカにして! 戦闘力なら負ける気は無いわ! です」


 金井は玩具のステッキを取り出して、俺に突きつける。

 魔法少女のステッキとか本当に売ってるんだな。


 乗ってきた俺は、指を鳴らす。


「な、なんなの、です?」


「――サオ!」


 すごいタイミングでお義母様がやって来た。

 何も持ってないな……お菓子と紅茶は? めちゃくちゃ楽しみに待っていたのに。


「な、なにママ?」

 声が戻った。


「ぱ、ぱぱが帰ってくるわ! お仕事が終わたのですって、今連絡があったわ」

「パパが!? うそ、そんなことが本当に?」


 何故か金井は驚愕している。仕事が終わっただけだろ? もしかしたら普段はかなり遅く帰ってくるから定時に帰宅したのが不思議なのかもしれない。


「そうなのよ、それでぱぱがサオに迎えに来てって言ってたわ。ママは仕事の場所を知らないから、迎えに行ってもらえる?」

「今行く! 今すぐに行く!!」


 そう言って金井は走って去っていった。

 俺はどうしろと? 帰れってか。



「ねえたっくんくん?」

「あ、たっくんで良いですよ」

 帰り支度をしていると、お義母様が話しかけてきた。


「この臭い、アレよね?」

 ギクッ!!!!


 さすが人妻……ごまかせないか。


「いや、あの……」

「うふふ、いいのよ? おばさんに任せて」


 美し過ぎて二十代にしか見えないおばさんは妖艶に笑う。


 彼女曰く、旦那さんは何年も帰っていなかったらしい。仕事も何をやっているのかはサオしか知らないらしい。


 何が言いたいかと言うと、体を持て余しているとのこと。


「お風呂に、行きましょ?」

「ふえ!? い、いやいや、すぐに帰ってくるでしょ、サオさんとお義父さんは」

「大丈夫よ、時間が掛かるって言ってたもの」


 目が座っている彼女は強い力で俺を引っ張る。


「さあ、行くわよ」

「くっ――初めてなので優しくお願いします……」



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