さてさて……
有紗はふわりと倒れかかるともういいやと修也に身を任せた。目を閉じてしまえばそれでいい。ブラウスがどこかへ行ってしまい、スカートも脱がされて下着に手がかかると強く目を閉じた。
握った手を優しく握る手に有紗は力をほどく。
「それでいいよ。力を抜いて。嫌ならやめる」
優しいキスはどんどん激しくなってくる。
強く抱きしめられて、これが男の人……。有紗が修也の背中に手をまわした。
「はい。終わり」
スマホのアラームが修也の上着のポケットの中でなっている。
「延長する?」
先ほどプレゼントしてくれるって言ったじゃないのと有紗は言いそうになった時に、
「あ、ごめん。次の指名が入っているみたい。大阪に戻らないと。ごめんね、延長のプレゼントはできないな。もっと手際よく、ざっくりと動いてくれたら二時間きっちり使えたのに」
「ええ~」
有紗は半分裸のまま自分の端切れの悪さにうんざりとした。まんまとしてやられた感じだった。でもキスをして男性とベッドにまでは入ることができたのだから、有紗にはそれだけでも大進歩だった。
「修也さん、また指名していいですか?」
「いいけど高いよ、大丈夫?」
修也は手早く部屋を出る前に清算をと言う。笑顔で。
有紗は2万円を渡すと、5千円札を返した。
「ホテルの支払いもしてね。じゃあ、次あるから。指名ありがとうございました」
手元に残ったのはコロンの香りと五千円。
そして乱れた布団に中途半端な気持ちの自分ひとり。
有紗の野望は遂げられないまま、もやもやした気分だけが残った。
有紗はスマホを出して、同じサイトに電話をする。
「あのゆう子ですけれど、今すぐ木屋町のホテルに来られる人いませんか? え? はい、その人でいいです。それと、カード使えます?」
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