第2話 五等分のマスター・オブ・ベイション 〜前編〜
皆さんこんにちは、村上康平です。前回見苦しいところをお見せしてしまった事をここで謝罪します。
何の謝罪かと言われたら特にありません。唐突に謝罪したくなったのです。人生たまにはこういう時がありますよね、ない?
さて、今回はバッテン高校に入学してしばらく経った頃、部活動に関するお話です。
――――――――――――――――――――
入学式から三週間経った。そろそろ学校の雰囲気にも慣れてきて落ち着いた頃だ。授業は流石に難易度が上がっており、まだ慣れそうにない。
「ゆずポン君は今日の授業どうだった?」
「完璧だったさ、何一つわからねぇ」
放課後、僕は親友のゆずポン君と帰路に着いていた。親友の今日のTシャツにはゆずポンと書かれているので、今日はゆずポン君なのだ。
「この時期に何一つわからないの大変だね」
「まあそのうち慣れるさ」
「そう言えばゆずポン君は部活動決めた?」
バッテン高校は部活動を強制していないが、入っておくと内申点が上がるのでとりあえず何処かに入っておいた方がいい。
そのためか幽霊部員が多いらしい。
「いやまだだな、康平は?」
「僕もまだだ、どうせなら自分の趣味に合うのがいいよね」
「康平の趣味ってなんだっけ?」
「シ○バニアファミリーだよ」
「学校の部活にあったかな」
そう言ってゆずポン君は部活動案内に書かれている部活一覧に目を通していく。下の方まで見た時ついに。
「お、あるじゃんシル○ニアファミリー部」
「うん、あるんだけど男の僕が行っても大丈夫なのだろうか」
「あぁ、確かに」
女の子向けの趣味ゆえに、男の僕がシルバ○アファミリー大好きですって言って入部したら嫌悪感を持たれそうで怖い。こういうのはひっそり楽しんだ方がいいだろう。
「まあでも明日覗いてみようぜ、下の妹が興味あるから見てきてって頼まれたとかなんとか言ってさ」
「そうだね、見るだけ見てみよう」
そして翌日の放課後、僕達はシルバニ○ファミリー部へ見学にきた。
「ふん! ようこそ! 我々がシルバニア○ァミリー部であーる!」
出迎えてくれたのは筋肉モリモリのボディビルダーのような体格の男子高校生達、シルバニアフ○ミリー部は男子生徒六人しかいない部活のようだ。
ムキムキの強面男子生徒が可愛いウサギさんを家の中に入れてこれでもかとだらしない笑顔を見せていた。
「おい康平、どうする?」
「入部します!」
こうして僕はシルバニアファ○リー部へ入る事となったのだった。
それからそれから、更に翌日の放課後の事だ、シルバニアファミ○ー部へ向かう途中、僕は中学の時にお世話になった先輩と再会した。
「鈴木先輩じゃないですか、お久しぶりです」
「ああ村上君か」
鈴木先輩はややお疲れのようだ。鈴木先輩とは中学の時に同じ図書委員を勤めていた縁でよく勉強を見てもらっていた。
先輩のおかげで随分テスト勉強が捗ったものだ。その先輩が大変ならお手伝いしてあげたい。
「先輩、どうしたんですか? 何か手伝いましょうか?」
「いや、その必要は……あぁ待ってくれ、やっぱり手伝ってもらえないだろうか」
「もちろん鈴木先輩のためなら」
「ありがとう、後輩の、それも入学したての一年生に頼むのは心苦しいのだが」
「水臭いですよ」
「わかった、最初から説明しよう」
鈴木先輩の説明を掻い摘むとこうだ。
まず鈴木先輩はロボット研究部に所属している。ロボ研は毎年四月の後半にロボバトル大会にでているようだ。
だがロボ研はここ一年芳しくない成果を上げており、このままでは部費が削減されてしまうとの事、そこで今回のロボバトル大会で上位入賞して成績を上げようというのだ。
ところがここで問題がおこる。なんとそのロボバトル大会には全国でも有名なチームが参加するらしいのだ。
あろう事かそのチームと同じブロックになってしまったために、上位入賞するにはそのチームを倒さなくてはならない。
「事情はわかりました、して僕は何をすればいいのですか? その相手チームの弱みを握って脅してきましょうか? それとも毒を盛って出場を辞退させますか?」
「発想が物騒だな君は」
「照れますよぉ」
それはそれとして。
「勝つための秘策はあるんだ。一昨年卒業した先輩達が凄いモーションをプログラムしたらしくてね、破壊力はあるが、あまりにも使った時の代償が大きくて使う事ができなかったらしい」
「だったら大した事ないのでは?」
「しかし一発逆転の切り札にはなる、我々はそのモーションに全てを賭けるつもりでいるんだ」
「なるほど、じゃあ僕はその先輩に会えばいいんですね?」
「モーションは五等分に分けられてそれぞれの先輩達が保存している、その内三つは既に確保してある。四つ目は別の部員が取りに行っている」
「わかりました、必ず五つ目のモーションを手に入れてきます」
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