第29話 麗最強の女(ヘンタイ)攻略法
「君の入部を歓迎するよ! さぁ! 早速この入部届に名前を書き給え!」
音夢先輩は俺達を掻き分ける様にして入口に行くと入部届を渡していた。
「話速くて助かるっス! 直ぐに名前書きますね~……って、武っチと勝子ちゃん、カズちゃんじゃん!」
流麗は俺達の存在に気付くと元気よく手を振った。
てか一応こっちのが年上なんだし、いきなり武っチはなくね?
と言いたいところだが、それよりも気になる事があり聞かざるを得なかった。
「君、停学中じゃなかったっけ?」
入学初日から停学を喰らうという恐らく開校以来前代未聞っぽい事をしでかした流麗だけど、何故か制服姿で俺達の目の前に姿を現しているのだ。
「あははは……てゆーかぁ、麗衣ちゃんが全部罪被って、あーしの事ゲロしなかったからね。先公ドモにまだ、あーしの顔あんまり知られていなかったぽいし、運よく見られてなかった系?」
「あ、じゃあ、君は停学喰らっていないって事か」
麗衣と同じ処分を受けたものかと思っていたけれど、如何やら俺の思い込みだった様だ。
「うん。そうなんだよね……せめてバンディットや破壊した扉代はあーしが弁償するつもりだけど」
「お金があるならそうしてあげなよ。麗衣は扉の修理代払うのにトレーナーのバイトしなきゃって言っていたぐらいだから」
俺と流麗がさり気なく会話をしていると勝子が溜まらず口を挟んだ。
「ちょっ……一寸待って! 武! アンタ何敵同士で仲良く話しているのよ!」
「あっ……まぁ、確かにそうかも知れないけど何か敵って思えないと言うか……」
「あーしも武っチは敵だなんて思ってないよ♪モチ勝子ちゃんもカズちゃんもね♪」
そう言うと流麗は勝子の顔をグイっと自分の胸に抱き寄せた。
「あわわわわっ!」
不意に顔が胸に挟まれる形になった勝子はバタバタと溺れた様に手を振り慌てて離れようとするが、ぎゅっと腕の力を込めて流麗が勝子の顔を谷間から抜け出させない。
「うううっ~あうううぅ~」
「ほら? こうすると幸せな気分になるっしょ? てゆーか、あーしのこと麗衣ちゃんだと思ってオッパイ好きにして良いからね♪何もかも忘れてあーしに身を委ねて♪」
流麗がぷるんぷるんと揺れる弾力性のあるたわわな果実に挟まれた勝子の頭をよしよしと撫で始めると、勝子はピタリと淡い抵抗を止めた。
「はあっ……はあっ……麗衣ちゃん♪」
オッパイに溺れ酸欠にでもなって記憶障害でも起こしたか?
血迷った勝子は上気した顔で目にハートを浮かべながら麗衣の名前を口走り、幸せそうな表情を浮かべながら流麗の胸元で頬摺りを始めた。
これが世にいうオッパイ固めか!
ん? そんな技聞いた事が無い?
そっ……そんな事はとにかくとして、こうして麗最強の
俺も同じことをされたらあっさりと屈服するに違いない。
俺の知り得る格闘技のどんな技よりも高度な攻撃だ。
オッパイ固め恐るべし……いや、流麗恐るべし……。
「よしよし……勝子ちゃんは甘えん坊さんだねぇ~カズちゃんもおいで」
すっかり篭絡され、懐いた犬のような勝子の頭を撫でながら、流麗は吾妻君を手招きした。
「申し訳ありませんが僕、大きなオッパイは興味無いんですよねぇ~あと、武先輩は渡しませんからねっ!」
そう言いながら吾妻君は横から顔を引っ付けるようにして俺に抱き着いてきた。
「えーっと……君の性別は聞いているし、武っチの事が好きなのは分るよ。あーしもレズだし、だから君らの恋路は邪魔する気ないから安心してちょ♪」
「そうなんですかぁ~よかったぁ~僕の武先輩が何処か遠くに連れて行かれちゃうかと思っていたから気が気で無かったんですよぉ~♪」
「いや! よくねーだろ! 恋路ってところ否定しろよ!」
「え? 違うんですか?」
吾妻君は小悪魔みたいな表情で首を傾げた。
くっ……。
この子が本当の女の子ならば良かったのだが、騙されないぞ!
初スパーリングで腕ひしぎ十字固めを極められた時のブツの生々しくも忌々しい感覚を昨日の事の様に俺は覚えているぞ!
「あっ……あの……入部の話は……」
会話から置いてけぼりの音夢先輩は遠慮がちに俺らに訊ねた。
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